インドネシアの大統領選挙をめぐる問題


東南アジア最大の人口と経済規模を持つインドネシアの大統領選挙は5日、候補者がテレビ討論などで支持を訴えて1か月にわたる選挙戦を終え、今月9日の投票で有権者の判断が示されます。


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インドネシア大統領選の両候補(写真nasional.inilah.com)

2期10年務めてきたユドヨノ大統領の任期満了に伴うインドネシアの大統領選挙は、元陸軍戦略予備軍司令官のプラボウォ・スビアント氏とジャカルタ州知事のジョコ・ウィドド氏の2人の争いとなっています。ウィドド氏は経験は浅いものの、汚職などには()まっていません。一方のプラボウォ氏は、国家主義的で強硬な一面があります。

両候補とも、さらなる経済成長のためにインフラ整備や産業振興などが必要だとする点で一致し、公約に大きな違いは見られず、先月4日から始まった選挙戦では全国各地を回って支持の取り込みを図ってきました。

最終日の5日夜はテレビ討論が行われ、「強い指導者」を印象づけてきたプラボウォ氏が「国民の信任を得られれば全力を尽くす」と強調したのに対し、ジョコ氏は「利益団体とのしがらみを断つ」と述べ、庶民派として改革を進める姿勢を鮮明にしました。投票はインドネシア東部の離島から始まり、最終的に人口の集中する西部で締め切られます。

西ジャワ州での投票結果が、勝敗の行方を決する見込みです。プラボウォ氏が勝利すれば、金融・農業分野での保護主義的な政策導入や、国債増発を通じた財政出動が懸念され、市場を押し下げる見込みです。実際、世論調査でウィドド氏との支持率の差が縮小し始めた5月半ば以降、インドネシアの株式や通貨は約4%下落しました。

世論調査では、当初最有力視されていたジョコ・ウィドド氏を、プラボウォ・スビアント元陸軍戦略予備軍司令官が激しく追い上げる展開で、ほぼ互角の大接戦が繰り広げられることが予想されています。両候補が勝利宣言を行えない場合は、市場が一段と軟化するかもしれません。

10年前に初めて国民の直接投票で選ばれたユドヨノ大統領は、憲法上の上限となる2期の任期を終えることになりますが、過去4年は政権批判が絶えませんでした。

アジアの新興国として存在感を高めるインドネシアのかじ取りを担う今回の大統領選挙は、9日の投票を通じて、1億9000万人近い有権者の判断が示されます。

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