西アフリカのマリの情勢

西アフリカのマリで攻勢を強めてきた反政府武装組織は2日までに、北部のほぼ全域を制圧しました。一方、反政府組織の一翼を担ってきたイスラム過激派グループが他の組織を排除して、シャリア(イスラム法)に基づく統治を始めようとする動きもみられ、現地で勢力を伸ばしてきた国際テロ組織アルカイダ系グループの活動が活発化する可能性も出てきました。
西アフリカのマリの情勢 - ảnh 1


 北部の分離独立を求める遊牧民トゥアレグ人の武装組織「アザワド解放民族運動(MNLA)」と、トゥアレグ人のイスラム過激派「アンサール・ディーン」が反政府武装組織を形成してきたとされます

 多数のトゥアレグ人がリビアのカダフィ大佐の雇い兵に参加してきたため、カダフィ政権崩壊後に元雇い兵と武器が大量にMNLAに流入し、今年に入り、政府と抗争が激化しました。先月21日の国軍クーデターによる中央の政情不安に乗じ、アンサール・ディーンと連携して、同30日に拠点都市のキダルを制圧し、その後、サハラ砂漠交易の中継地として有名な世界遺産都市トンブクトゥなどでも実権を掌握(しょうあく)しました。

MNLAは声明で北部の「解放」を誇示していますが、AFP通信などによると、トンブクトゥではアンサール・ディーンがMNLAを追い払って支配下に置きました。さらに、キダルなどでラジオ局の音楽放送や洋服の着用が禁じられるなどの動きが出ているということです。

これに先立ち3月31日、反政府勢力は同日、世界遺産の都市であるトンブクトゥを包囲、北部の要衝都市の制圧を進めていました。

 反政府勢力は既に北部キダル州の州都キダルを掌握しました。反政府勢力との戦闘でトゥーレ政権がマリ軍に武器を十分に与えていないとして、3月下旬にクーデターを起こした反乱軍にとって、同勢力の攻勢は大きな打撃でした。

 反政府勢力は、トゥアレグ人のイスラム過激派組織と連携しているとされます。反乱軍を率いるサノゴ大尉は3月31日、市民の犠牲を避けるためガオでの戦闘停止を決めたと表明、ガオからマリ軍が撤退しました。

これまでマリはかつて、安定した国家と見られてきましたが、今、西アフリカ地域の新たな不安定地域となることでしょう。

 

ご感想

他の情報