シリア問題 世界の隔たりを深く


アメリカ軍のシリア攻撃は世界各国にショックを与えました。これに先立ち、アメリカは、イスラム教過激組織「(IS)イスラム国」掃討を優先するため、アサド政権の退陣を求めていた前政権の政策を転換する姿勢を示したばかりでした。今回のシリア攻撃は、シリア情勢を悪化させるだけでなく、世界各国の隔たりを深くすると見られています。

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アメリカ軍のシリア攻撃に反対しているシリアの人たち(写真:VNA)

シリア攻撃への反応がそれぞれ

アメリカ軍のシリア攻撃を受け、イランのロハニ大統領は9日、ロシアのプーチン大統領と電話会談しました。両首脳は「国際法に違反しており、許容できない。テロリストが利するものだ」などとの認識で一致しました。

プーチン氏は、アサド政権が化学兵器を使ったと報じられた後も、これを否定してアサド政権を擁護しています。ロハニ師もアサド大統領との電話会談で「イランはシリアとともにあり、シリアの領土の一体性を保持する」と支持を鮮明にしていました。

これに対し、アメリカの同盟国サウジアラビアは、シリア攻撃を完全に支持するとの声明を出しました。トルコも、アメリカ軍のシリア攻撃を前向きな行動と呼び、アサド政権への圧力強化を支援すると示唆しています。

そして、トランプ大統領は10日、イギリスのメイ首相、ドイツのメルケル首相とそれぞれ電話で会談し、アメリカ軍のシリア攻撃について、シリア・アサド政権の化学兵器使用に応じたものだとして理解を求めました。ホワイトハウスによりますと、イギリスとドイツの両首相はアメリカの行動への支持を表明しました。そのうえで、トランプ氏と両首相は、アサド大統領に責任を負わせることが重要だとし、シリア情勢をめぐって連絡を緊密にしていくことで一致したということです。

一方、中国は関係各国に対し、達成された合意を遵守し、紛争エスカレートに歯止めをつけるよう呼びかけています。

アメリカ国内でも、シリア攻撃に対し、賛成と反対の2つに分かれています。アメリカで行われた世論調査で、シリアのアサド政権に対するミサイル攻撃を支持すると答えた人は50%余りで、反対と答えた人は40%でした。

シリア問題の解決策は?

アメリカホワイトハウスのスパイサー報道官は10日の記者会見で、シリアのアサド政権軍へのミサイル攻撃に関連して、「将来の行動の可能性を排除しない」と述べ、さらなる巡航ミサイルなどによるシリア攻撃を示唆しました。

一方、ロシアのペスコフ大統領報道官は、内戦が続くシリア情勢を巡り「『アサド大統領は去れ』と唱えるだけでは政治解決に向かわない」と述べ、内戦解決にはジュネーブでのアサド政権と反体制派の和平協議以外に「代替策はない」とも強調しました。

こうした中、イタリア中部ルッカで10日開幕した先進7か国(G7)外相会合で、アメリカとイギリスは11日に採択する共同声明に、シリア内戦で化学兵器を使用したアサド政権の後ろ盾となっているロシアへの新たな制裁を盛り込みたい意向です。

こうした動きにより、シリア内戦の解決はさらに難航するおそれがあり、関係各国の隔たりが大きくなる恐れがあります。


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