ヨーロッパを脅かすポピュリズム


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3月14日にフランスで行なわれた欧州議会の会議の様子(写真: AFP/ TTXVN)

欧米社会ではポピュリズム(大衆迎合主義)が台頭しています。近年、多くの国々で行なわれた選挙結果はポピュリズム政党の成功を示していると言えます。現在、ポピュリズムはヨーロッパの多くの社会組織と民主政党の懸念となっています。

ポピュリズムとは、左派・右派にかかわらず、大衆を動員する政治手法のことで、有権者をひきつけるもっとも効果的な方法は、彼らの理性ではなく感情に訴えることです。これが「反知性主義」で、社会を不当に支配しているエリートを批判し、「理屈、または、理性よりも、人々の本音(感情)に寄り添うことが真のデモクラシーだ」と主張するものです。日本語では「大衆主義」と訳されます。

なぜ、ポピュリズムが台頭しているか?

ヨーロッパでは、既存政党が政策面で明らかに失敗していることに対する有権者の幻滅もあるし、「自分たちの立場が無視されていると感じていること」への反動もあります。難民危機が深刻になっていることもポピュリズムを台頭させる原因の一つです。フィンランド、ハンガリー、ラトビア、リトアニア、ノルウェー、スイスを含む、多くのヨーロッパ諸国で右派政党がすでに政権をとっています。「イギリス独立党」、フランスの「国民戦線」、「ドイツのための選択肢」など、まだ政権を手に入れていない右派政党もかなりの躍進を遂げています。

トランプ大統領の誕生だけでなく、イギリスのEU脱退、イタリア国民投票での上院の権限を縮小し、フィリピンのドゥテルテ大統領の登場など、2016年を席巻していたのはポピュリズムでした。

ヨーロッパはポピュリズムの対応で協力

アナリストらはヨーロッパで、ポピュリズムがさらに広がることを予測しています。今年、ヨーロッパでは重要な選挙が予定されていますが、3月のオランダ議会選挙で移民排斥を求める自由党が票を伸ばし、4月末と5月はじめに行なわれるフランス大統領選では国民戦線のマリーヌ・ルペンが決選投票に進むことが確実視されています。

さらにヨーロッパのリベラル勢力を支えるドイツのメルケル政権も、9月の連邦議会選挙では、難民受け入れを批判する「ドイツのための選択肢(AfD)」の躍進に大きく揺さぶられることが予想されています。

そのような中、イギリスがEU=欧州連合から離脱するための続きを行なうのは始まったばかりで、今後、多くの困難に直面することが予測されています。イギリスのEU離脱は2年間かかると予定されていますが、イギリスが新しい貿易政策を制定するためには20年もかかる見解もあります。

ポピュリズムの普及はヨーロッパの社会諸組織、マスメディア、民主政党の共通の懸念となっています。ポピュリズムが今後、どのような規模に普及するかはヨーロッパ諸国の民主体制の努力にかかることでしょう。



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