銀細工の記憶をたどる「キムガン集会所ストーリーテリング・スペース」

ハノイ旧市街ハンバック通り44番地に佇むキムガン集会所。かつて名声を誇った銀細工職人の記憶を宿し、賑わう街の中で静かに息づく遺構。古色を帯びた門構えが、喧噪の都市と遺産の静けさとの間をつなぐ結界のように立つ（写真：ハイ・ハー）

時の塵に埋もれていた国家級遺跡が、「キムガン集会所ストーリーテリング・スペース」という特別プロジェクトによって甦り、訪れる人々を歴史と現代の対話へと誘（いざな）う。プロジェクトは、11月23日の「ベトナム文化遺産の日」20周年を記念する活動の一環として実施される

展示空間の冒頭では、資料・模型・図版を用いて、銀細工の源流と職業史をたどる物語が再現される

プロジェクト主任のブイ・ティエン建築家（ボイアン・デザイン株式会社）は、伝統文様への深い情熱が企画の出発点であり、これまでで最も力を注いだ大規模プロジェクトだと語る（写真：ハイ・ハー）

「文化的価値や遺産は、私たちが新しい時代を歩むための拠り所だ。だからこそ、文様やモチーフがより身近になるよう、新しい視点を絶えず探り続けている」と建築家のブイ・ティエン氏は語る

伝統文様体系に宿る美的価値・文化的価値を掘り下げ、キムガン集会所の新たなビジュアル・アイデンティティを構築することを目指すプロジェクト

建築・サインボード・什器・展示を統一的にデザインし、昔のハンバック通りを象徴する銀細工職業の歴史的深みを空間的に再現する

伝統的な工芸品や風習を手がかりにストーリー空間を構築し、銀細工や角細工など、職人の技が息づく逸品を紹介する

キムガン集会所で展示されている工芸品

「百芸（バク・ゲ）の木」。枝に吊るされたランプは、一つ一つが画家によって描かれた伝統職業や生活風景を表す

最近では、若いボランティアガイドたちの語りによって、キムガン集会所の空間が生き生きとした表情を帯びている

ハノイ教育大学歴史学科4年のレ・テー・アインさんは、ベトナム文化を来訪者に伝える一助になれることを誇りに感じている

テー・アインさんによれば、外国人観光客の多くが、キムガン集会所での新鮮な体験に強い関心を示すという

コロンビアからの旅行者リカルド・アルセさんが、キムガン集会所で初めて「青木版木摺り（タインリエウ木版画）」を体験し、興奮した様子を見せる

物語性のある工芸品と固有の文様を用いた展示手法により、プロジェクトは伝統職業の精髄を親しみやすく再現する。遺構は、もはや「遠くから眺める場所」ではなく、体験し、交流する場へと生まれ変わる

キムガン集会所の展示空間に並ぶ工芸品の数々

銀細工の記憶をたどる「キムガン集会所ストーリーテリング・スペース」

06-12-2025 10:17

(VOVWORLD) - ハノイ旧市街にある国家級遺跡「キムガン集会所」は、時の流れに埋もれることなく、「キムガン集会所ストーリーテリング・スペース」と名付けられた特別プロジェクトによって新たに「目覚め」ました。これらの写真を通して、その取り組みをご覧ください。

レ・チ（編集）