EU欧州連合は2040年までに温室効果ガスの排出量を1990年比で90％削減することで、法的拘束力のある合意に達したと、欧州議会が10日に発表しました。削減分のうち5％は、外国の炭素クレジットの購入によって賄われる見通しです。

この合意により、EUの産業界には85％の排出削減が義務付けられ、2036年以降、EU加盟国は非加盟国に対価を支払い、残りの削減分を代行してもらう仕組みとなります。

目標が正式に法律となるためには、欧州議会とEU加盟国の双方による承認が必要ですが、通常は事前合意済みの内容を形式的に追認する手続きとされています。

今回の合意は、主要国の排出削減方針の多くを上回る水準ですが、EUの気候変動科学アドバイザーが推奨する目標には達しておらず、当初案よりも弱い内容となりました。このことは、環境政策の実施スピードや費用負担を巡って加盟国間の意見の隔たりが大きいことを改めて浮き彫りにしています。

EU欧州委員会のフックストラ気候変動対策担当委員の報道官は声明で「今回の合意は、気候・競争力・自立性が密接に関連していることを示すもので、世界のパートナーに力強いメッセージを発信するものである。我々は強力かつ現実的な気候法について合意した」と述べました。（ロイター）