古代チャム塔の魅力の探検

(VOVWORLD) - 青い海と乾いた風、砂丘が広がる南中部沿岸地方に、チャム族の古い塔が今も残っています。
ニントゥアン省とカインホア省が合併し一つの行政区となった今、ニャチャンのポーナガル塔と、ファンランのポークロン・ガライ遺跡群を巡る旅は、珍しい文化遺産ルートとして注目を集めています。この地を訪れる観光客は単に観光に行くだけでなく、かつて中部ベトナムに栄えたチャンパ王国の文明の源に遡る旅でもあります。
古代チャム塔の魅力の探検 - ảnh 1ポークロン・ガライ遺跡は13~14世紀に建設され、偉大な治水王・ポークロン・ガライを祀る(写真:Thế Hùng/VOV5)

ファンラン・タップチャム市にあるチャウ丘に立つポークロン・ガライ遺跡で、毎年乾季の初めに「ズオン・ザン・サット祭」別名、雨乞いの儀式が行われます。これはチャム族にとって非常に重要な伝統儀式で、天と地に恵みの雨を祈る行事です。

色鮮やかなチャム族の伝統衣装に身をまとっている人々が塔のふもとに集まり、太鼓と笛の音、線香の匂い、祈りの声が重なり合い、神聖な雰囲気に包まれています。
古代チャム塔の魅力の探検 - ảnh 2雨乞いの儀式(写真:Thế Hùng/VOV5)

チャム族の長老グループの一員であるパセ・マン氏は次のように述べました。

(テープ)
「雨乞いの儀式は、豊作と恵みの雨を祈る大切な儀式です。私たちはこの地域を開墾した王様の恩を偲ぶため、毎年必ずこの儀式を行います。もしこの塔がなければ、私たちはどこで王様を祀ればよいのか分かりません」
13〜14世紀に建てられたポークロン・ガライ遺跡は、偉大な治水王・ポークロン・ガライを祀る聖地です。彼は堤防を築き、水路を通して農地に水を引き、干ばつから人々を救ったと伝えられています。
古代チャム塔の魅力の探検 - ảnh 3赤レンガの色合いが際立つ古代チャン建築は、時を超えて輝きを放ち続ける(写真:Thế Hùng/VOV5)

ポークロン・ガライ遺跡はチャンパ王国の建築美術を今に伝える生きた証です。モルタルを使わずに積み上げられたレンガの精巧な技術、神話や日常生活を物語る緻密な彫刻群は、芸術性の高さを物語っています。強い日差しと風が吹くこの地にあっても、赤レンガの色は今なお鮮やかです。チャム族にとって、これらの古塔は単なる祭祀の場だけでなく、古代チャンパ帝国の繁栄時代を物語る遺跡です。

ファンランを後にし、海岸沿いの国道を南下すると、観光客はニャチャン市にたどり着きます。ポーナガル塔がカイ川の河口にそびえ立っています。8世紀から13世紀にかけて建てられたこの塔は女神ポーナガルを祀る壮大な遺構です。
古代チャム塔の魅力の探検 - ảnh 48世紀から13世紀にかけて建設されたニャチャンのポーナガル塔。母なる女神ポーナガルを祀る(写真:Thế Hùng/VOV5)

伝説によれば、女神は人々に農耕や機織り、そして国の守り方を教えたとされています。今日では年間数十万人が訪れる、ベトナム南部最大級の信仰の中心地のひとつです。ポーナガル塔のガイドの話です。

(テープ)
「チャム族の人々は、王様や女神、ヒンドゥー教の最高神を祀るためこの塔を建てました。チャム族はこの塔を焼成レンガのみで建て、装飾には石材を使用しました。驚くべきことに、建設にはセメントが使われておらず、それにもかかわらず今日までしっかりとその形を保っています。レンガの継ぎ目には接着剤らしきものが見当たらず、その構造の謎は、今なお、科学者たちを困惑させています」
ホーチミン市からの観光客のグエン・バン・ルアットさんは、その独特な建築に強い印象を受けたと述べ、次のように語りました。
(テープ)
「接着剤も使わずに、こんな塔を築いたなんて信じられません。本当に唯一無二の建築様式です」
古代チャム塔の魅力の探検 - ảnh 5古代チャンパ帝国の塔に見られる独特の建築様式(写真:Thế Hùng/VOV5)

毎年開催されるポーナガル祭りの際に、この塔を訪れる観光客は優雅な伝統舞踊や、パラヌン太鼓の響き、そして色とりどりの供物が並ぶ神聖な儀式の雰囲気に包まれます。

ニャチャン市のポーナガル塔とファンラン市のポー・クロン・ガライ塔を結ぶことでユニークな文化観光ルートが誕生しました。この観光ルートへの参加を通じて、かつて東南アジアで輝きを放ったチャム文明をより深く体験できるだけでなく、その貴重な遺産の保護と普及にも貢献することが期待されています。

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