枯葉剤被害者向けの教室=Anh Tuấn – TTXVN
アメリカ軍がベトナムで起こした化学戦争は、生態系の環境を深刻に破壊しました。その上、およそ480万人のベトナム人が枯葉剤・ダイオキシンを浴びた他、300万人のベトナム人が枯葉剤・ダイオキシンの被害者です。これまでに、数十万人の枯葉剤・ダイオキシン被害者が亡くなりました。そして今なお、数多くのベトナム人が枯葉剤・ダイオキシンの苦悩を抱えていきています。
環境と人間の健康を破壊
枯れ葉剤の貯蔵や輸送などに使用していたアメリカ軍の基地では、多量のダイオキシンが流失したため、残留ダイオキシンは今なお許容基準の数千倍の高濃度で検出されています。まだホットスポットと呼ばれる高濃度の汚染地域が各地に点在しています。その中でも、中部のダナン空港、ビエンホア空港、フーカット空港はダイオキシンによる大規模汚染が確認されています。ダイオキシンを重度汚染しているこれらの地区では、環境、人間の健康に深刻な影響がもたらされています。ベトナム戦争中にアメリカ軍が使用した枯葉剤後遺症の克服指導委員会のブ・チェン・タン氏は次のように明らかにしました。
(テープ)
「ダナン空港、ビエンホア空港、フーカット空港などの枯葉剤・ダイオキシンのホットスポットの土壌や食品サンプルを検出した結果、これらの地区に住んでいる人々は枯葉剤・ダイオキシンを浴びる危険性が高いということです。これは環境問題です。その他、枯葉剤・ダイオキシンは人間の身体に先天的異常を引き起こしました。現在、科学研究の結果によりますと、枯葉剤被害者の第2世代、第3世代も先天的異常をもたらす割合が高いです。」
タインホア省カムスエン県に住む枯葉剤被害者=
Nguyễn Thủy - TTXVN
一方、日本の鳩山由紀夫元首相は次のように語りました。
(テープ)
「2013年10月に、ハノイ市のフックラム国際病院を訪れた際に、入院中の枯葉剤・ダイオキシンに苦しんでいる多くの子どもに会いました。その他、ベトナム全国各地に住む数万人の子どもが枯葉剤の影響による身体障害に悩んでいることも知りました。」
枯葉剤・ダイオキシン後遺症の克服
これまでに、ベトナム政府は、枯葉剤・ダイオキシン後遺症の克服に関する国家行動計画を発行させ、幾つかのダイオキシン汚染除去プロジェクトなどを実現してきました。また、ベトナムはアメリカと連携して、ダナン空港周辺でのダイオキシン汚染除去を行った他、GEF=地球環境ファシリティと連携して、フーカット空港周辺及びビエンホア空港の一部でダイオキシン汚染土壌浄化を進めてきました。
ベトナム枯葉剤被害者協会のグェン・テェ・ルック副会長は次のように明らかにしました。
(テープ)
「フーカット空港の除染活動では、遮水シートで作られた埋め立て処分場に汚染土壌を隔離し、兵士や近隣住民がダイオキシンに接触することがないようにしました。これにより、ダイオキシン濃度は徐々に低下していますが、この問題には先端技術の研究と応用が必要だと思います。先ごろ、アメリカの支援を受け、ベトナムはダナン空港における土壌中のダイオキシンの除去作業の第1段階を成功させました。現在、第2段階を行っています。」
一方で、ベトナム政府は、枯葉剤被害者向けの優遇政策を発行させ、それらの政策の完備を実現しています。ベトナム政府は、アメリカを含む世界各国や国際組織と連携して、枯葉剤被害者への支援プロジェクトを実現してきました。ベトナム枯葉剤被害者協会のグェン・バン・リン会長は次のように明らかにしました。
(テープ)
「枯葉剤被害者は大勢いますので、彼らへの支援は大きな問題の一つです。政府は、枯葉剤被害者に対する支援金と社会的補助に関する政策をとっています。これらは、枯葉剤・ダイオキシンによる被害の軽減と枯葉剤被害者が抱えている苦悩の解消に寄与するとしています。」
ベトナム枯葉剤被害者協会は、枯葉剤被害者の物心両面での苦しみの解消に重要な貢献をしています。先ほどのベトナム枯葉剤被害者協会のグェン・テェ・ルック副会長は次のように明らかにしました。
(テープ)
「ベトナム枯葉剤被害者協会が設立されて以来この12年間、枯葉剤被害者のために国内外の支援者に1兆1150億ドンの義捐金を働きかけました。私たちは、これらの義捐金を利用して、枯葉剤被害者に現金と現物を補助した他、枯葉剤被害者擁護センターの建設、雇用創出、診療治療などを行ってきました。」
ベトナムの政府と国民の大きな努力、及び国際組織の支援は、ベトナムにおける枯葉剤・ダイオキシン後遺症の克服に効果的に寄与することです。