在韓米軍への最新鋭ミサイル迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD=サード)」配備に関連し、中国による韓国への締め付けが厳しさを増しています。
米韓共同演習(写真:Yonhap)
中国政府が二日、自国の旅行代理店に対し、団体客の韓国ツアーの販売自粛を命じたと伝えられ、韓国外務省は三日、「事実であれば、人の交流まで制限する不合理な措置で非常に遺憾だ」とコメントしました。旅行業界からは「個人旅行まで制限されたら大変」といった不安の声が上がっています。
二〇一六年に韓国を訪れた外国人観光客は約千七百二十万人で、中国人は八百四万人と半数近いです。中国政府による制限範囲は不明ですが、規制の影響を受けやすい団体客は中国人観光客の45%を占めます。
THAADが七月にも配備されることへの「報復」ともいえる中国政府の対応に、韓国外務省は「事実を確認中」としながらも、「中国政府の適切な措置に期待し、政府としては全ての可能性を考慮して対応を検討する」と表明しました。韓国の文化体育観光省は三日、緊急の対策会議を開催し、対策班を組織して対応していくことを決めました。
中国人旅行者にも人気の観光地、済州島(チェジュド)にある金宇(クムウ)国際旅行社の担当者は「団体旅行だけでなく個人の旅行まで制限される可能性がある」と影響の拡大を懸念しています。THAAD配備が決まった昨夏以降、団体ツアーから個人旅行に力を入れるようになりましたが、「個人旅行も減っている。団体ツアーを多く扱う旅行会社は深刻な打撃を受けるだろう」と話しています。(東京新聞)