首都ハバナで、キューバと米国の国旗＝AFP/TTXVN

アメリカ上院の超党派グループは２５日、キューバへの渡航制限の全面解除に向けた法案を再提出しました。トランプ政権の対キューバ政策に不透明感があるなか、同法案は２０１５年の前回提出時を大幅に上回る共同提案者を集めました。

「キューバ渡航自由法」と呼ばれる同法案は１５年に８人の超党派議員が提出しましたが、本会議で審議されることなく廃案となりました。今回は共同提案者が５５人に上ったということです。

定員１００人の上院で５５人は過半数に当たりますが、法案の審議を進めるには６０人の賛成が必要となります。上院共和党の指導部が同法案の採決を認める兆候はこれまでのところないということです。

トランプ大統領は2016年の大統領選で、オバマ前政権が進めてきたキューバとの国交正常化への取り組みを打ち切る可能性を示唆しており、就任後に対キューバ政策の見直しに着手しました。

オバマ前大統領はキューバへの投資や渡航を巡る制限を緩和したため、キューバへの米国人訪問客が急増しています。ただ、公式には同国への観光旅行は認められません。

渡航自由法共同提案者の共和党代表、ジェフ・フレーク上院議員は「われわれの渡航禁止令で不利益を被っているのはキューバ政府ではなく米国人だ」と強調しました。禁止令の解除はアメリカ人の自由度を高めるとともにキューバの「急成長する企業活動や民間セクターに確実にメリットがある」と指摘しました。

昨年のキューバへの米国人訪問客は７４％増加しました。キューバのホテルや外食産業などだけでなく、キューバに進出しているアメリカのクルーズ運航会社や航空会社にも恩恵が及んだということです。