(VOVWORLD) - チャム族の文化の特徴が最も鮮明に現れているのは、建築芸術です。寺院や塔、美しい浮き彫り、祭壇彫刻など、チャム族が残した遺跡を見ると、この民族がいかに高度な建築技術を持っていたかがわかります。
ベトナムには54の民族が暮らしていますが、その中でも特に独特な文化を持つのがチャム族です。チャム族の人々は主にベトナムの南中部と南部に住んでおり、長い歴史を持つ独特の文化的伝統を育んできました。それは歌舞音楽、文学、祭り、そして建築芸術などに表れています。
チャム族の伝統的な扇の舞 |
石に刻まれた文明〜建築芸術の世界〜
(チャム族の音楽)
チャム族の文化の特徴が最も鮮明に現れているのは、建築芸術です。寺院や塔、美しい浮き彫り、祭壇彫刻など、チャム族が残した遺跡を見ると、この民族がいかに高度な建築技術を持っていたかがわかります。
特に有名なのが、世界文化遺産として認定されたミーソン遺跡群です。中部ダナン市にあるこの遺跡群は、カンボジアのアンコール遺跡にも匹敵する価値があると研究者たちは評価しています。
現在のカインホア省には、国家特別遺跡として認定されたポー・クロン・ガライ塔があります。これは13世紀末に建設された塔で、チャム族の王であったポー・クロン・ガライ王を祀るために作られました。
ニントゥアン博物館のタイン・ニャイ副館長は、この塔について次のように語っています。
(テープ)
「ポー・クロン・ガライ塔は、現在のチャム族の塔群の中で最も完全に保存された建築芸術作品です。国家特別遺跡として認定されてから、観光客の数も日に日に増加しています。現在は週末や祝日、テトの際にも観光客向けの文芸公演を行っています」
自然と共に生きる〜伝統的な住居〜
チャム族の文化は、日常の住まいにも表れています。チャム族の家屋は広々としており、東西軸に沿って「I」字型に配置された5から7棟(むね)の建物群からなる、とても独特な建築様式を持っています。
地元に住むダン・チー・クエットさんは、チャム族の家づくりについて教えてくれました。
(テープ)
「チャム族の人々は、まず水源を探してから家を建てます。井戸はいつも東北方向に位置し、台所は西北方向に向けられます。家の壁は泥と藁を混ぜ、水を加えて丁寧に練って作ります」
神々と共に舞う〜80の舞踊〜
(チャム族の音楽)
チャム族の文化で特に興味深いのは、舞踊です。なんと、チャム族には約80の舞踊があり、それぞれの舞踊に対応してチャム族の信仰における80の神々が存在するのです。
ほとんどの舞踊は宗教的・信仰的な色彩を持ち、宮廷舞踊の性格も併せ持っています。シヴァ神、ウマ女神、アプサラ女神などの舞踊は、個人や集団によって演じられる親しみやすい舞踊として親しまれています。
(カテー祭りの音楽)
そして、チャム族の文化を語る上で欠かせないのが、カテー祭りです。これは神聖で特色ある重要な民俗の祭りで、通常チャム族の暦の7月1日、つまり西暦の9月25日から10月25日の間に開催されます。この祭りは故人を偲び、民族の英雄たちを記念するために行われます。
バウチュック陶器村の職人による制作実演 |
人間の体を表現する楽器〜民族音楽の世界〜
チャム族は独特の民族音楽や芸術の価値を創造し、他の民族のそれとは異なる独特の楽器を作り出しました。ギナン太鼓、パラヌン太鼓、サラナイ笛、カンヒ弦楽器、銅鑼、六楽などです。
チャム族のカムリーさんは、楽器について興味深い話をしてくれました。
(テープ)
「チャム族の楽器には主に3種類あります。ギナン太鼓、パラヌン太鼓、サラナイ笛です。ギナン太鼓は2つの長い太鼓で人間の両足を象徴し、パラヌン太鼓は人間の胴体、五臓六腑を象徴しています。サラナイ笛には7つの穴があり、2つの目、2つの耳の穴、2つの鼻の穴、1つの口を象徴しています」
太鼓の叩き方も非常に特徴的です。チャム族のカー・フィウさんは、次のように説明してくれました。
(テープ)
「太鼓を叩く2本のバチは人間の両手を表しています。太鼓を叩く際はリズムを保つ必要があります。一人が陰(いん)の太鼓を叩き、もう一人が陽(よう)の太鼓を叩きます。陰の側では手で太鼓を叩き、陽の側ではバチで太鼓を叩きます」
チャム族の人口は約18万人で、ベトナム全国人口の1%未満という少数民族です。しかし人口は少なくても、チャム族は豊かで輝かしい発展した文化を持っています。
チャム族の文化は、他の民族の文化とともに、民族的特色が濃厚で先進的なベトナム文化の豊かさと多様性を作り出しています。