(VOVWORLD) -ベトナムの人にとってハスの花は特別な思いがあります。それは、日本の桜に近い感覚かもしれません。ハスの花はベトナム国花、つまり、国の花で、ベトナム航空のロゴマークもハスの花が形どられています。
ハスの花はベトナムの全国各地で植えられていますが、最も多いのは南部ドンタップ省でしょう。ドンタップの農民にとって、ハスは経済価値がある栽培作物であるだけでなく、文化面でも特別な価値があります。
そんなハスが日本で食材となるのはレンコンくらいですが、ベトナムではハスの実を始め、茎、花・根など全てが食材になります。特に、ハスの花の香りを残すハスのお茶は昔からベトナムで人気がある高級茶となっています。香りが良いだけでなく、リラックス効果もあります。
ドンタップ省ではハスの実、茎、花・根などを食材にした料理はこの地方の特産品となっています。また、ハスを材料にして、装飾品、美術工芸品、ファッション製品なども作り出しています。現在、ハスを材料にした製品は20種類にものぼっています。
ドンタップ省は同省内のタップムオイ県の農業生産構造の再構築案において、ハスから作られた製品を重視しています。ですから、現在、ハスの製品は世界の多くの国々に輸出されており、高い経済価値をもたらしています。南部ビンズオン省にあるダイベットハス食品株式会社のグエン・スアン・タン会長は「わが社はハスを買い上げるため、ドンタップ省に支店を置いている。現在、市場ではハスの製品の需要が高い」と明らかにし、次のように語りました。
(テープ)
「当面、農民はハスの栽培に力を入れる必要があります。次は粗製と加工をきとんと実施しなければなりません。向こう1,2年にわが社はハス栽培地を建設します」
ドンタップ省のハスの付加価値を高めるため、多くの企業はハスから様々な製品を生産しています。例えば、ハスのミルク、ハスのお酒、ハスのお茶、高品質の縫製産業向けのハスの糸などです。タップムオイ県にあるカントゥ有限会社のゴー・カイン・フイ社長は「ハスから作った製品を多様化させるため、弊社は缶詰のハスのミルクを製造している。ハスの供給源を確保するため、弊社は原材料栽培地を建設している」と明らかにし、次のように語りました。
(テープ)
「今後1,2年、原材料栽培地を構築するのは義務付けとなります。現在、私たちはハスの栽培地の建設に全力を尽くします」
ドンタップ省はハスの栽培地の持続可能な発展、および、地元住民の生活水準の向上を目指し、総面積300ヘクタールのハス栽培地を整備しています。ハス畑も観光用、ハスの製品を作る原材料用、ハスの糸をとるだけのハス畑などの地区に分類されています。
その他、ドンタップ省は地域にある資源を活かした特産品やサービスを通じて地域経済の活性化を図るOCOP一村一品運動の一環として、ハスを材料にした6つの製品が好評を得ています。また、同省は関連各機関と協力して、農業農村観光とハスの製品開発という研究テーマを行っています。
ドンタップ省農業農村開発局のグエン・フオック・ティン局長は「ハスの経済価値を高める傍ら、ハスの美しさを利用して観光客を誘致することに力を入れる」と明らかにし、次のように語りました。
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「かつて、数種類のハスから多くの種類の製品を作っていましたが、実際、根をとるためのハスと茎をとるためのハス、花をとるためのハスの種類はそれぞれ違います。現在、ハスの付加価値が高いので、私たちは省内にある協同生産組合や企業と協力して、ハスの栽培面積をさらに拡大させます」
ドンタップ省でハスの栽培から得た利益は稲の栽培よりはるかに高いです。しかし、ドンタップ省のハスの価値を高めるため、農民と企業を緊密に連携させる必要があります。その他、国内の需要と輸出用のハスの製品の生産のため、ハスの種子、栽培技術、資金などの面での支援が必要とされています。
以上、ドンタップ省のハスの製品の価値の向上についてお伝えしました。