山崎 こんにちは、山崎千佳子です。
ソン こんにちは、ソンです。今日のハノイ便りは、ベトナム北部山岳地帯にあるベトバック地区の観光促進策についてお伝えします。
山崎 ベトバック地区。初めて聞きます。どこですか?
ソン ベトバックというのは、ベトナム北部という意味です。南北統一前にこのように呼ばれていました。北部の山岳地帯にある6つの省を指す言葉です。
(写真:dulichvietnam.com)
山崎 今はあまりベトバックとは言われないんですか?
ソン そうですね。でも、みんなベトバックの意味は分かります。カオバン省、バックカン省、ランソン省、タイグエン省、トゥエンクアン省、ハザン省の6つの省のことです。
山崎 山岳地帯というと、自然がいっぱいですよね。その自然を観光スポットに、ということですか?
ソン 確かに多くの自然に恵まれていますが、それだけじゃないんです。フランスと戦ったインドシナ戦争で、このベトバック地区に革命の根拠地が置かれたことから、多くの遺跡があるんです。
山崎 前に、アンさんが「家族旅行で革命の根拠地に行った」と言ってたんですが、それですね。
ソン 多分そうだと思います。アンさんも旅行に行ったように、ベトバック地区には、観光の発展に有利なところがあるんです。ここ数年、「ベトバック地区の遺産をたどる」という観光プログラムが実施されていて、いい反応なんです。
山崎 プログラムの効果が出ているんですか?
ソン はい。2009年から2015年までの7年間で、このエリアを訪れた観光客はおよそ3300万人に達しました。年々、着々と増えています。
山崎 山岳地帯ということですが、宿泊施設などは整備されているんですか?
ソン 今年7月現在で、ベトバック地区には1200ヶ所の宿泊施設があります。そのうちの270は、ベトナムのホテルランクで一つ星から四つ星までの基準に達しています。
山崎 星の基準というのは国や地域によっても違いますけど、ホテルの規模や付属施設、設備の有無がポイントとなりますね。
ソン はい。投資も続々と行われています。2009年から2015年までの、この地区での観光関連の投資総額は、日本円でおよそ1750億円にのぼっています。
山崎 大きな額ですね。ベトナム観光総局副局長( Ngo Hoai Chung)の話です。
(テープ)
「ベトバック地区の観光のポテンシャル、潜在性は非常に高いと思います。このエリアの各省は、まず観光発展に向けての行政の役割を確定する必要があります。同時に、投資に対する優遇政策を打ち出さなければなりません。実際、優遇措置を取っている地方の観光は発展しています。」
(写真:dulichvietnam.com)
山崎 初めのほうで、観光協力プログラムが実施されているという話がありましたけど、ベトバック地区の6つの省で協力して行っているんですか?
ソン そうです。それによって、各地方の観光が幅広くPRされるようになっています。例えば、ベトナム最北端にあるハザン省は、以前は知名度が低かったんですが、今はベトナム国内外の観光客にとって魅力的な目的地となっています。
山崎 私がハザン省と聞いて思い出すのが、VOVのべリカードです。今、何種類かあるべリカードの1つに「ハザン省のそばの花」がありますよね。
ソン そうですね。毎年10月になると、ハザン省のいたるところでピンクのそばの花が咲き乱れます。それから、ルンクーの旗の塔は、山崎さん、知ってますか?
山崎 この日本語放送のホームページで見たことがあります。単純に旗を揚げる塔かと思ったんですが、違います?
ソン 意味があるんですよ。まず、ここはベトナム最北端ということを示すのが、ルンクーの旗の塔です。ベトナム国旗がはためくこの塔は、海抜1700メートルにある「龍の山」の頂に位置しています。この旗の塔は、ベトナムの主権を表す神聖な場所として知られています。
ルンクーの旗の塔(写真:dulich24.com.vn)
山崎 なるほど。いろいろ知らないとだめですね。
ソン ハザン省には、岩石高原もあるんですよ。ドンバン岩石高原と言って、海抜1000メートルから1600メートルにあるカルスト台地です。面積は2300平方キロメートルほどで、2010年にユネスコのジオパーク、地質学公園として認定されました。
山崎 これも知りませんでした。ハザン省、盛りだくさんですね。観光客が増えるのもわかります。
ソン はい。2009年から2015年までに、ハザン省を訪れた観光客は、延べ320万人にのぼりました。そのうち、外国人観光客は66万2千人です。
山崎 これからも増えていきそうですね。ハザン省文化スポーツ観光局副局長( Lam Tien Manh)の話です。
(テープ)
「ベトバック地区の文化遺産はとても豊富です。各地方はその強みを観光促進に活用しています。ハザン省の場合、ベトバック地域内にある地方と連携して、観光商品を開発しています。その他、有力な投資家や会社が、ホテルやケーブルカー、飲食店など観光分野へ投資するよう呼びかけています。」
山崎 観光分野で重要なのは、やはりPR活動ですよね。先ほども話が出ましたけど、各地方が協力してPR活動を行っていると効果的ですよね。
ソン そうなんです。毎年、この地区にある各省は順番で、「ベトバック地区の遺産をたどる」というプログラムを展開しています。観光客にこのエリアの魅力を紹介するなど、旅行会社からも注目を集めています。
山崎 近隣地域で連携できると、他に比べてうちはここが弱いからこうしようとか、いいことずくめのような気がします。
ソン はい。弱点を認識できて、その対応策も打ち出せます。
山崎 同じく、ベトバック地区にあるトゥエンクアン省人民委員会委員長( Pham Minh Hoang)の話です。
(テープ)
「地区内の各地方との協力は非常に重要な意義を持っています。それぞれの行政当局は、率先して観光の発展に取り組んでいかなければなりません。トゥエンクアン省は、観光が経済を刺激する突破口と考えているんです。」
山崎 この共同プロモーションは、ベトバック地区の観光促進に新風を吹き込んでいるようです。美しい自然と豊富な文化遺産で、これからさらにこのエリアの観光の発展が期待されますね。では、おしまいに一曲お送りしましょう。「~」です。
(曲)
「~」をお送りしました。
今日のハノイ便りは、ベトナム北部山岳地帯にあるベトバック地区の観光促進策についてお伝えしました。それでは、今日はこのへんで。