ハノイ便りの時間がやってまいりました。
ホアイ ご機嫌いかがですか皆さん。ホアイです。
アン こんにちは。アンです。日本では旧暦の1月を睦月(むつき)と呼びますね。その意味は「親族一同が集って宴をする」というようですが、ベトナムでは、昔、「睦月は遊びと宴の月」という諺もありますね。ベトナム語で「Thang Gieng la thang an choi」となります。
ホアイ そうですね。時が経つに連れて、現在の生活にその諺があまり正しくなくなりますが、全然間違いだとは言い切れません。というのは、旧暦の1月はベトナム全国で様々な祭りが行われますからね。
アン そうです。前回のハノイ便りでは北部バクニン省のリム祭りについてご紹介しましたが、今回は北部山岳地帯ランソン省のキー・クン神社のお御輿祭りについてご紹介しましょうか?
ホアイ いいですね。ランソン省は首都ハノイから北へおよそ150キロ離れた所にあります。この省は200キロメートルにわたる、中国との国境線があります。
アン ランソン省の地形は主に山岳地帯で、美しい風景に恵まれているほか、ティ族、ヌン族など各少数民族の伝統的文化を保存しています。首都ハノイから国道1号線に沿って、3時間ぐらい北上すると、ランソン省に行けますね。
ホアイ そうですね。では、さっそく、キー・クン神社のお御輿祭りについてお話します。
現場の音 1
毎年旧暦の1月22日から27日にかけて、ランソン省のキー・クン神社のお御輿祭りが盛大に開かれます。5日間行われますが、最も重要なのは最後の1月27日に行われます。今年の場合、1月27日は新暦の3月8日でしたね。
アン そうですね。この御輿祭りはベトナム封建時代の後レ(黎)朝が治めていた18世紀ごろ、中国人との貿易を行うため、ランソン省キールア市場を開設したタンコンタイ(Than Cong Tai)という高官の恩を偲ぶためのものです。
ホアイ 御輿行列は午前11時にキークン神社を出発し、ランソン省の繁華街と言われるバクソン通り、チャンダンニン通りなどを練り歩いて、ターフー神社まで行きました。
現場の音2
アン この御輿行列に参加するのは青年の他、女性やお年寄り、そして、子供もいて、誰もが鮮やかな礼服を身に纏っています。行列に欠かせないものは獅子舞や龍舞が賑やかな音楽に合わせて舞うんですよね。
ホアイ 御輿行列が通過する通りにある家やお店、会社などは全て、営業を休んで、家や店を綺麗に飾り付けて、豪華なお供えものを用意したりして、御輿行列を歓迎します。
アン ランソン省チャンダンニン通りにある自宅の前に、豪華なお供えものを用意したようばかりのグェン・ティ・フェさんは次のように語りました。
(テープ)
「以前、私は子供を連れて、この祭りの見に行きました。今は孫を連れて行きます。この祭りはランソン省の開発に大きく貢献したタン・コン・タイという高官の恩を偲んで生まれました。本当に大昔からの祭りです」
アン フェさんの話でした。では、このへんで、ティータイムにして、歌をお楽しみいただきましょう。
歌「ランソン・我が故郷」
アン 話を続けましょう。タン・コン・タイという高官へのお供え物は家族によって違いますが、よく見られるのは赤飯、果物、鶏の姿ゆで、子豚の丸焼きなどです。
ホアイ これらの家族や会社はその日に親族や友人を招き、一緒に、ご馳走を頂き、祭りの雰囲気を存分に楽しみます。
アン ランソン市の市民は「家の前に神様が来るのは年一回ですから、豪華なお供え物で迎えなければならない」と考えていますね。ランソン市の市民にとって、これは自分の家族、ランソン省の省民の幸運や健康、豊年満作を祈るよい機会とされています。
現場の音 3
ホアイ 賑やかな祭りの音楽の中で舞う獅子舞や龍舞と御輿行列は大勢の人々の熱心な歓迎を受けています。この行列はそれぞれの家の前で立ち止まり、獅子舞や龍舞をします。ランソン省の市民 グェン・バン・チェンさんは次のように語りました。
(テープ)
「御輿行列が家の前に通った時、全ての家庭はできる限り最も豪華なお供え物を用意します。神様にお供えしてから、親族や友達と共に、ご馳走を頂きます。ランソン市の市民だけでなく、周辺にある各少数民族の人々もランソン市に集って、祭りに参加します」
ホアイ チェンさんの話でした。この御輿行列は夕方まで行われます。その日は、ランソン市全体が祭りの音と雰囲気に包まれます。そんな雰囲気は本当に珍しいことでしょうね。
アン キー・クン神社の御輿祭りに参加する人々はランソン省の住民の生活水準の向上を目の当たりにするだけでなく、独特の伝統文化と地元の人々の親しみやすさと暖かいもてなしを実感できますね。
ホアイ そうですね。では。おしまいに、歌をお聞き頂きながら、今日のハノイ便りを終わりにしましょう。
アン 「ランソン省の雨」でした。リスナーのみなさん。今日のこの時間はキー・クン神社の御輿祭りについてご紹介しました。それでは、今日のハノイ便りの時間はこれで終わります。来週のこの時間にまた、お会いしましょう。ごきげんよう。
Chao cac ban