クメール族の伝統錦織の保存に励む職人ネアン・チャン・ティさん
(VOVWORLD) -南部アンザン省アンクー村スライスコット集落に住む少数民族クメール族のネアン・チャン・ティさんは、優れた錦織職人として知られています。彼女は伝統工芸の保存と発展に尽力し、その製品をOCOP一村・一品の基準を満たすまでに引き上げた功労者となっています。
ティさん |
1983年生まれのティさんの家庭は、4代にわたり錦織工芸に従事してきました。ティさんによりますと、クメール族の錦織の特徴は、寺院や花、葉、あるいは仏陀の姿など、古くからの信仰や文化価値を反映した精巧で複雑な紋様にあります。また、天然由来の原料を用いた伝統的な染色技法により、絹は上品な艶と滑らかさを持ち、毛羽立ちにくく、歳月を経ても色褪せない耐久性を誇ります。
ティさんは、古くからの技術を守りながらも、伝統的な紋様をハンドバッグや財布、コートといった現代的な製品に融合させるなど、製品の刷新を図っています。特に、天然染料と現代的な綿糸を組み合わせることで、クメール錦織特有の風合いを維持しつつ、生産効率を高めることに成功しました。その卓越した技術と信頼から、彼女は地元当局より、現地住民への技能伝習の指導員に選ばれました。
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「行政当局からの依頼で、村民たちに錦織技術を教えています。錦織には17の工程がありますが、特に形作りや染色、綿打ちの工程が難しく、村でこれができるのは現在2人しかいません。行政当局には今後も講習会などの支援を広げていただき、村の女性たちが技術を習得して、クメール族の伝統工芸を守り続けられるよう願っています」
ティさんから技術を教わったネアン・ソック・クンさんは、次のように述べました。
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「ティさんの教え方はとても分かりやすいです。授業料も取らず、誰でも受け入れてくれます。彼女はとても親切で才能があり、人々との調和を大切にする方です」
家業を発展させるため、ティさんは織物製品の多様化を図るとともに、展示会や見本市へ積極的に参加し、クメール族の伝統錦織の普及に努めています。また、観光業と連携し、工房での体験受け入れも行っています。
アンクー村人民委員会のグエン・ズイ・フォン委員長 |
アンクー村人民委員会のグエン・ズイ・フォン委員長は次のように述べています。
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「ティさんは、錦織が収入源であるだけでなく、民族のアイデンティティとしての誇りであることを若者たちに気づかせてきました。現在、高度な技術を持つ職人は減少しています。そのため、行政当局としても彼女らと協力し、村独自の紋様や伝統技術を次世代に継承するよう働きかけています。」
2000年、ティさんは地元住民と共に「ヴァンザオ・クメール伝統錦織協同組合」を設立しました。2006年には、その製品が「ヴァンザオ錦織」として団体商標の保護を受けました。現在、「Silk Khmer」ブランドとして展開されている製品は、国内のみならず、タイ、カンボジア、ミャンマーなど東南アジア諸国へも輸出されています。
ネアン・チャン・ダ・ティ組合長は次のように語っています。
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「ティさんは非常に腕が良く、顧客のいかなる要望にも応えるデザインを織り上げることができます。村で一番上手な職人です。人柄も温厚で熱心なため、皆から慕われています」
ティさんにとって、錦織の一枚一枚は単なる手工芸品ではなく、クメール文化の象徴です。彼女は伝統工芸の保存に留まらず、地元の女性たちに雇用を創出し、生活向上にも大きく寄与してきました。こうした多大な貢献に対し、地元当局からは省・村・集落の各レベルで表彰状が贈られています。