コオロギ少年大冒険の作家.トーホアイ(TO HOAI)
20世紀のベトナム作家の中の一人にトーホアイという作家がいます。1920年9月27日生まれの彼は1930年―1945年期の革命文学黎明期における数多くの有名な文学作品を執筆しました。特に、「コオロギ少年大冒険」という作品はベトナムだけでなく、全世界でよく知られています。
トーホアイは1930年代に文学創作事業を初め、1938年、愛国労働社協会の会員となり、そして、反帝国主義者青年協会に加盟しました。1943年ハノイ市の救国文化組織に参加した後、「 コオロギ少年大冒険」という作品を発表しました。1950年代の抗仏闘争時期にトーホアイは「救国新聞」の編集部に勤務していて、1957年までにベトナム作家協会の理事長に選ばれました。1960年代の抗米救国闘争期に入るとハノイ市の文学芸術協会の会長として活躍しました。
作家のホァンコクハイ氏はトーホアイさんとの思い出について、次のように振り返りました。
(テープ)
「西北地方を視察した時、トーホアイさんは少数民族の生活に溶け込みながら、日記を記しました。彼の日記の中には森林や平野や都会で鳥の鳴く声を描いた文章もありました。彼は自分の書いた日記を読んでくれました。それはとても素晴らしい文章でした。彼は文学創作事業に力を注ぎました」
トーホアイは北部の山岳地帯の風景と人々の生活を描いた数多くの作品を執筆しただけでなく、愛する首都ハノイについても書き残しました。また
彼は子供たちに大人気の作家と言われています。トーホアイさんの読者であるレフォンさんは次のように語りました
(テープ)
私は子供のころから、「コオロギ少年大冒険」という作品を読みました。当時、テレビには漫画があまりなかったので、私の幼い頃の記憶はトーホアイさんの素晴らしい文学の流れに流れの中にいました。」
「コオロギ少年大冒険」という本は英語、フランスをはじめ、中国、日本、オランダ、ルーマニア、キューバ、韓国、カンボジア、ラオス、タイなどの多くの言語で翻訳され、多くの国で出版されてきました。
更に、「アフ夫婦」という作品は国内外でよく知られています。1953年に出版されたこの作品はフランス植民地支配下にある西北地方の少数民族人々の生活とフランス軍に決して戦勝するというベトナム人の精神を描いたものです。
この作品はベトナム文学芸術協会の賞を受賞しました。フォンレ文学研究者は次のように語りました
「アフ夫婦」という作品は戦争中の文学事業における価値のある作品と評価されています。これは1945年―1954年の抗仏闘争時期における優秀な文学作品の2冊の内の一つとなりました」
60年間にわたり、トーホアイさんは200の文学作品を創作してきました。それらの立派な業績により、1996年、彼はベトナム政府から最高の賞であるホーチミン賞を受賞しました。そして2010年には、「ハノイへの愛のため」という賞も受賞しました。作家トーホアイさんは西北地方とハノイをこよなく愛した93年の人生を閉じました。