刺繍職人ホアン・ティ・クオンさん、障害者に希望の灯ともす
(VOVWORLD) -刺繍職人であるホアン・ティ・クオンさんは、両足に障害があるものの、器用な両手と強い意志を持ち、身体的な欠陥を乗り越えて立ち上がり、同じ境遇の人々の精神的な支柱となっています。
刺繍職人ホアン・ティ・クオンさん(立っている人) |
彼女は故郷に伝わる伝統的な刺繍を守りながら、障害者に仕事を提供し、彼らが自信を持って社会に溶け込めるよう支援しています。
ハノイ市クアットドン刺繍村にあるクオンさんの工房では、小さな部屋に刺繍枠が並べられ、6、7人の女性たちが黙々と針を上げ下げして模様を作り出しています。中には腕の疲れを軽減するために椅子の背に肘をかけている人や、数針刺しては横になって休む人もいます。熟練者は静かに片隅で作品を仕上げ、基本的な刺繍を学んでいる人は、教えられたことを一つ一つ懸命に覚えようとしています。彼女たちは皆、運動機能障害または知的障害を持つ人々です。クオンさんはこれまで、多くの省や市からの障害者や刺繍愛好家、若者たちに無料で技術を教えてきました。
ドー・ティ・ロアンさんは、かつて仕事がなく、自分自身に劣等感を抱いていましたが、刺繍の技術を習得して以来、人前で明るく自信を持って話せるように変わってきました。
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「この刺繍の仕事は、私が障害者であるという劣等感を抱かずに済むようにしてくれました。刺繍を学んでできるようになったことで、もっと自信を持てるようになりました。自分で稼いだお金で生活できています」
また、知的障害者であるヴー・ラン・アインさんは、最初、刺繍を学ぶのに大変苦労しましたが、今では技術を習得し、美しい作品を多く作り出し、家族の収入を増やしていると明らかにしました。
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「この間、クオンさんから刺繍を教わることができて、とても嬉しかったです。最初は刺繍をするのが本当に難しかったですが、今では先生のために一枚の作品を完成させることができ、お金もいただきました」
この女性たちは皆、クオンさんの教え子であり、今では彼女と共に刺繍工房を発展させる仲間となっています。かつては足が不自由なため、内気で、つねに怯えていて、自信が持てなかったクオンさんでしたが、外の世界に足を踏み出したことで、彼女自身の人生が変わってきました。だからこそ、彼女は同じ境遇の人々が未来への希望の灯をともせるように手助けしたいと考えています。
クオンさんは次のように述べています。
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「私も障害者ですから、以前は誰に会うにも大変気が引けました。ですから皆さんに言いたいのは、私がもっと大胆になっていれば、人生は変わっていただろうということです。2012年から交流活動を始めて、それが私に様々な道を開き、物事を見る目や、より多くの人々とコミュニケーションをとる方法を知るきっかけとなりました」
クオンさんが作った刺繍作品 |
クオンさんはハノイ市内の有名な刺繍村の一つであるクアットドン村で生まれ育ちました。生後数ヶ月で高熱を出した際、適切な治療が間に合わず、片足に障害が残っています。彼女の幼少期は、友達が走り回るのを静かに見つめ、身体の欠陥をからかわれて傷つく日々でした。その頃、彼女にとって唯一の喜びは、刺繍枠に向かい、母から教わる基礎から応用までの技術でした。
足が不自由なため、この数十年、クオンさんは本、新聞、テレビを通じてのみ世界を旅してきました。彼女が見た美しい景色は、針と糸によって創造的に記録され、芸術的な刺繍画として残されています。足の不自由さは、器用な両手によって補われ、糸からなるきらびやかで色彩豊かな世界を作り出しています。
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「私は何世代にもわたりこの仕事をしてきた家族に生まれました。故郷の製品、家族の製品を皆さんに紹介したいという思いもあります。故郷の出身者であるからには、故郷の美しさ、家族の美しさ、伝統の美しさをやはり守り続けなければなりません」
2012年、クオンさんが韓国のコンペティションに作品を出品した際、現地の障害者が非常に自信を持ち、社会に溶け込んでいるのを見て、帰国後、障害者の生活を改善し、社会に認められるために会社と刺繍工房を設立することを決意しました。彼女の会社には現在、約15人がいます。
工房のメンバーであるチャン・ヴァン・トゥオンさんは次のように明らかにしました。
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「私はクオンさんをとても尊敬しています。これは伝統的な仕事で、先生がそれを守り続けています。これは非常に貴重なことです。身体障がい者にとって、このような仕事はとても適しています。本当に、この仕事がなければ、私たち障害者はとても困難な状況に陥っていただろうし、生活もとてもつまらないものになっていたでしょう。この仕事があるから、私たちは楽しく、自分の生活、自分の面倒を見ることができるのです」
クオンさんは、その芸術的な創作活動とコミュニティへの貢献により、国内外で多くの賞を受賞しています。彼女の作品は数々の国際展示会にも出品され、高い評価を得ています。彼女にとって最も貴重なのは、障害者たちが絶えず努力し、社会に溶け込んでいく姿を見ることだということです。彼らは今、彼女と共に伝統的な刺繍の仕事を守り、クアットドン村の人々の美しい精神を国内外の友人に紹介し続けています。