(VOVWORLD) -800年以上の歴史を誇る銅鋳造の発祥の地の一つである北部バクニン省ダイバイ村に住む若き職人グエン・ドゥック・アインさんは銅製を素材にして、精巧な簪や指輪、ネックレスなどを製造しています。
ドゥック・アインさん |
ベトナム人にとって、銅は古くから馴染み深い素材であり、像やレリーフ、日用品、装飾品などに用いられてきました。
しかし、現在、800年以上の歴史を誇る銅鋳造の発祥の地の一つである北部バクニン省ダイバイ村に住む若き職人グエン・ドゥック・アインさんは銅製を素材にして、精巧な簪や指輪、ネックレスなどを製造しています。
ドゥック・アインさんは、銅細工の道に進み、この仕事に情熱を注ぐようになった経緯について次のように明らかにしました。
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「この仕事は家業であり、代々受け継がれてきた村の伝統が私に染み込んでいるので、この仕事に従事することにしたのです。製品のプロモーション経験を積んだ後、この手工業をもっと発展させ、より多くの人に知ってもらいたい、そして村の伝統を守りたい、特に若い世代にもっと知ってもらいたいと思いって、日常生活に溶け込む製品への応用に着手したのです」
ドゥック・アインさんは、父祖が手掛けた伝統的な製品作りとは異なる道を選び、小さくて軽く、日常生活に溶け込むような製品を目指しています。銅製の盆や、装飾用の絵画、花瓶、吊り下げランプ、トレイ、スプーン、皿、キャンドルカップなど、どの製品も手作業で一点一点丁寧に、細部に至るまでこだわり抜いて作られています。さらに、ネックレス、チョーカー、ピアス、指輪、簪、あるいは銅製の浮き彫り絵画といった銅製のハンドメイドジュエリーのシリーズも手掛けています。これらの製品は、伝統的な美しさだけでなく、現代的な美意識も兼ね備え、若者のライフスタイルにフィットしています。
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「古い資料で発見された模様は全て2次元であり、製品に深みを与えられませんでした。銅製品を造る際には、それを打ち出し、浮き彫りにして、製品に魂を吹き込まなければなりません。手作業で、少しずつ打ち出すのです。まるで手が3Dプリンターのようです。彫金技術はかなり難しい技術で、強すぎず、弱すぎず、均等に力を入れて、彫り跡が均一で美しくなるようにしなければなりません」
機械があらゆるものを代替しうる現代において、手作業の不完全さ、非対称な曲線、そして古びた銅の鈍い輝きこそが、唯一無二の個性を生み出します。それは、職人が長い時間をかけ、忍耐と職業への愛を込めて生み出した美しさです。
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「私は、かつてのフン王、リー朝、チン朝、レー朝の時代から伝わる文様を常に研究し、製品に取り入れるよう努めています。例えば、ドンソン銅鼓の文様や、蓮の花、鶴、古字、あるいはベトナム古来の自然文様などです。現在、若い世代に特に人気があるのは、鳥、蓮の花、トンボ、鳳凰、雲の文様といったベトナムの古典的な文様です。若者たちは、古代文化のモチーフが施された装身具を身に着けることに強い関心を示しているからです」
国内市場、特に若い消費者を魅了したいという強い思いから、ドゥック・アインさんその協力者たちは銅製ジュエリーブランド「トンキンクラフト(Tonkin Craft)」を立ち上げました。彼らの装身具には、素材の由来や、文様の意味、そしてデザインのインスピレーションに関する説明が添えられています。
ハノイ在住のホアン・タンさんは、次のように話しています。
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「ドゥック・アインさんの手作りの銅製品は、ベトナムの伝統文化の価値を表現している点に非常に惹かれます。外国の方へのお土産にする際も、誇らしく感じます。職人の手と知恵によって生み出された製品は、私にとって非常に価値のあるものです。それはベトナムの文化や人々を国際的な友人たちに紹介するのに最適な品だと感じています」
若き職人ドゥック・アインさんが造ったユニークな銅製品を通して、ベトナムの手工銅鋳造製品は再び国の境界を越えようとしています。そこにあるのは、単なる純粋な銅製ジュエリー製品ではなく、彼の仕事への愛情と情熱が込められているのです。