三重県志摩市の賢島(かしこじま)で、行われたG7サミット=主要7か国の首脳会議「伊勢志摩サミット」は27日、「G7伊勢志摩首脳宣言」を発表しました。その主な内容の一つとして東シナ海やベトナム東部海域、いわゆる、南シナ海での海洋安全保障が取り上げられました。
(写真:AFP/TTXVN)
共通の懸念でコンセンサスを達成
海洋安全保障の分野について、サミット宣言は海洋進出の動きを強めている中国を念頭に、「緊張を高め得る一方的な行動を自制し、自らの主張を通そうとするために圧力や威圧をかけないことや、紛争解決には仲裁手続きを含む平和的手段を追求すべきことの重要性を再確認する」と指摘しています。
そのうえで、「東シナ海やベトナム東部海域(南シナ海)における状況を懸念し、紛争の平和的解決の根本的な重要性を強調する」として、中国を直接、名指しすることは避けながらも具体的な海域を明記して懸念を表明しています。
この宣言はベトナム東部海域での緊張がエスカレートしている背景の中で発表されました。宣言を見ると、この海域での進出の動きを強めている中国に対するアメリカ、日本などからの強い不満を示しています。今回のG7サミットに議長国を務めた日本は議題を決定する権限がありました。日本は東シナ海やベトナム東部海域、いわゆる、南シナ海に対するG7加盟諸国の関心を集めることに成功したと言えます。
国際法を通じて、紛争を解決することを支持
中国政府は、今回の伊勢志摩サミットが首脳宣言で、ベトナム東部海域問題に言及した点に、議長国の日本を名指しして激しく反発しました。
(写真:AFP/TTXVN)
中国外務省の華春瑩(か しゅんえい)副報道局長は26日の定例記者会見で「強調したいのは、先進7カ国は南シナ海問題と何も関係がないということだ。他国の事柄にあれこれ口出しすべきでない」と非難しました。
会見は、主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)やベトナム東部海域(南シナ海)問題に質問が集中し、華氏はいら立ちを隠せない様子でした。ホスト国の日本やアメリカを念頭に「一部の国が南シナ海問題でG7を利用することに執着している」と批判しました。
特に、今回のサミット宣言で、G7の指導者はオランダ・ハーグの常設仲裁裁判所など国際裁判所が東シナ海やベトナム東部海域(南シナ海)における紛争を解決するための合法的な場所とみなすことを支持しました。ベトナム東部海域の海洋安全保障に関するG7のコンセンサスはこの海域の平和、安全保障に寄与すると言えることでしょう。