水上人形劇はベトナム北部ホン川デルタの独特な民間芸術です。ハイズオン省ニンザン県ホンフォン村ボズオン集落はこの芸術を育む場所の一つです。
ホンフォン村はハイズオン省ニンザン県の南西に位置しています。ボズオン集落の長老によりますと、水上人形劇の始まりがいつからなのか正確には分かりませんが、17世紀以後とのことです。ボズオン集落の集会所の正面には池があり、これは水上人形劇の舞台です。この舞台に出る人形はボズオン集落の大工が造ったものです。ホンフォン村の水上人形劇班のファム・バン・トン( Pham Van Tong)班長は次のように語りました。
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「ホンフォン村の水上人形劇グループは戦争のために結成と解散の連続でしたが、今は復活されました。復活された当初、多くの困難に直面しましたが、当局と支援者の援助により、昔の水上人形劇が復活されました」
近年、ハイズオン省人民委員会、文化スポーツ観光省、JICA=日本国際協力機構は水上人形劇の舞台や人形の展示室などの建設を支援しました。先ほどのホンフォン村の水上人形劇班のファム・バン・トン( Pham Van Tong) 班長はさらに次のように語りました。
(テープ)
「現在、ホンフォン村の水上人形劇班メンバーは16人がおり、その中の多くは高齢者です。近年、ホンフォン村の水上人形劇班が国内外の団体と個人の支援を受けて、急速に発展してきました」
他の地方の水上人形劇には人形を操るのが幕の後から水中の棒とひもですが、ホンフォン村の水上人形劇はひもだけです。ホンフォン村の水上人形劇班のグェン・バン・チュオン( Nguyen Van Truong) 副班長は次のように語りました。
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「人形劇に登場する人形のほとんどは私たちの自分の手造りです。プロ職人ではない私たちがこれらの人形を造ることができたのを誇りに思っています。午前中は野良仕事をしていますが、午後は水上人形劇の職人になります。観光客はそのことに興味があるようです」
1994年、ハノイで行われた水上人形劇フェスティバルで、ホンフォン村の水上人形劇班は金メダルを獲得しました。その後、ホンフォン村の水上人形劇班はフエ・フェスティバルを始め、全国で行われていた文化イベントにも参加していました。現在、ホンフォン村の水上人形劇班は毎月、25―30回にわたり、上演します。ホンフォン村の水上人形劇班のメンバーの一人である79歳のブー・バン・ズオン( Vu Van Doan) さんは次のように語りました。
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「これまで、私たちは昔の水上人形劇の演目の大部分の復元に成功しました。私たちは日夜を問わず、この芸術の維持、保存に全力を尽くしています。人形劇に登場する人形は自分の手で造りました。私たちは昔から伝えれきた芸術を維持、保存することを望んでいます」
現在、人形劇の公演の他、村の高齢者は村の子供たちに水上人形劇を教える教室を開いています。もし、ホンフォン村に足を運ぶならば、伝統的水上人形劇の楽しい雰囲気を楽しむことができるでしょう。