ミーソン遺跡は中部クアンナム省の山間部に位置し、チャンパ王国の歴史、文化、建築芸術の結晶とも言える70の塔があります。この遺跡はインドネシアのボロブドゥール寺院遺跡群、ミャンマーのパガン遺跡、カンボジアのアンコールワットなどと比較できます。ミーソン遺跡は1999年、世界文化遺産としてユネスコ国連教育科学文化機関の認定を受けました。
ミーソン遺跡の建設が4世紀ごろのこととされていますが、4世紀~13世紀の間にベトナム中部を支配していた古代チャム族の聖地とされています。半径およそ2キロメートルの盆地に様々なチャム塔が点在しますが、いずれもヒンドゥー教の建築様式があります。中には多くの塔の群がありますが、それぞれは中心的な塔が真ん中にあり、周囲にはより小さい塔があります。主な塔は男根を表すリンガを奉ります。全ての塔は太陽の光を受けるため、東に向いています。ミーソン遺跡管理と観光委員会のフィン・タン・ラップ ( Huynh Tan Lap) 副委員長は次のように語りました。
(テープ)
「ここはヒンドゥー教の神を奉っています。その他、男性のシンボルとされるリンガと女性のシンボルとされるヨニが奉られています。これは宇宙には陰陽があれば、人間が生まれるという意味です。」
ミーソン遺跡にある全ての建造物は煉瓦で造られ、チャンパ人の当時の技術力の高さを物語っています。また、塔に彫刻される模様はヒンドゥー教の神話に登場する人物や物語です。これはチャム族の彫刻の手法の特徴を示しています。ニントァン省のチャム族出身者のダット・チュ( Dat Chu)さんは次のように語りました。
(テープ)
「チャム族の文化は非常に豊かで、独特なものです。科学者たちはミーソン遺跡の建造物における秘密を研究してきました。私だけでなく、ニントァン省に住んでいる全てのチャム族の人々はこのミーソン遺跡を誇りに思っています。」
一方、中国人観光客ゴ・ジョウ( Ngo Thuong) さんは次のように語りました。
(テープ)
「私は古都フェ、そして、ダナン市、ホイアン旧市街、ミーソン遺跡を訪れました。これらはいずれもベトナムの世界遺産です。これらの遺産には昔のままの姿が保たれています」
ミーソン遺跡はチャム族の文化博物館としてされています。時間と戦争により、多くの遺産が破壊されましたが、残されたものは世界遺産として貴重なものとされています。