(VOVWORLD) -この数年間、中部高原地帯テイグェン地方ダクラク(Đắk Lắk省)における森林の面積が減り、従ってこの地域に生息しているゾウのエサの減少や、生息環境の縮小をもたらしています。このことで、現地のゾウの保護は多くの困難に直面しています。そこで、ダクラク省は、ゾウの健康と繁殖を良好に管理するために様々な措置を講じています。
ホーラク(Hồ Lắk)エコツアー地区の雄ゾウは、毎日、観光客を乗せて、この生態地区を一周した後に、お馴染みのバナナの木を食べます。象使いのイ・ウイン・エユンさんによりますと、以前、このゾウは、自分でエサを探して食べるために、ゾウ乗りツアーに参加する1週間ごとに森林に1~2週間ほど戻りました。
ゾウは元々野生動物であるから、自然食べ物である草、タケノコなどは半分以上を占めています。しかし、この数年間、それらの食べ物は減りつつなったため、ゾウはトウモロコシ、サトウキビ、バナナの木などを追加で食べせざるを得ないということです。これらの追加食品は、量的には十分だが、質と栄養面で劣っています。それに、現在の気温は以前と比べ上昇し、また、ゾウは、観光活動に活用されたため、健康が日々弱くなり、寿命も縮まっています。
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「現在、森林では、ゾウ向けのエサが少なくなっている一方、ゾウは大量に食べています。若くて元気な一頭のゾウならば、一日分の食べ物と飲み物は、合計で500キログラム程。そこで、ゾウに十分なエサを提供するためには、トウモロコシやバナナなどを追加しなければなりません。しかし、実際、これらのエサを食べたゾウは、自然界にあるエサを食べたゾウほど元気がないです。」
写真:Dương Giang/TTXVN |
ところで、2012年現在、ダクラク省では、10頭の飼育ゾウが死にました。その原因は主に、老衰、体調の悪化、または野生ゾウに襲撃されたということです。ダクラク省では、野生ゾウが、居住地の近くに現れ、農作物を荒らしたりする事故がしばしば起きています。ダクラク省ゾウ保護センターの統計によりますと、現在、この地方では、80~100頭の野生ゾウの群れが生息し、同省の4つの県に主に移動しています。
センター長の話です。
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「現在、野生ゾウの生息環境は日々狭くなり、エサも少なくなっています。その理由で、野生ゾウは、農耕地に出没して、農作物を荒らしたら、よく農民と衝突しました。これは、住民の安全を脅かすと共に、野生ゾウの保護を妨げています。」
ダクラク省は、2014年に、野生ゾウの群れの緊急保護プロジェクトを実現しました。この5年後に、専門家らは、健康管理のために、現地に飼育されている全てのゾウにマイクロチップによる個体識別措置を実施しました。また、8頭の個体が繁殖可能と確認されました。その他、現在、ゾウ保護センターは傷ついた2頭の野生ゾウを救護し、飼育しています。さらに、ダクラク省は、野生ゾウの生息環境の保護や移動ルートの識別を行うために、関連各機関や組織、家庭と個人による連携体制を構築してきました。そして、現地で飼育されているゾウの場合、350ヘクタールに及ぶ飼育場を建設しました。
林業総局の副総局長は次のように語っています。
(テープ)
「現在、ダクラク省にある森林の質は、数十年前と比べると低下しました。例えば、立木の蓄積量は、以前では1ヘクタールに当たり200立方メートルでしたが、現在では、その半分以上に減りました。従って、野生ゾウのエサは制限となっています。ですから、私たちは、ゾウの生息環境を構築しなければなりませんでした。例えば、幾つかの地域に、ゾウが好きな樹木を植えた他、谷からゾウの移動ルートへ水を導くシステムを作りましたよ。」
森林が量的にも質的にも激減している状況の中で、野生ゾウの保護を持続的に実現するために、野生ゾウの生育環境の構築は極めて必要であり、差し迫った課題となっています。