日本では秋の味覚と言えばサンマや栗などがある一方、ベトナムで、秋といえば「コム」でしょうか。「コム」というのは青いもち米で作られたお馴染み食べ物です。コムは餅菓子や料理に使うこともありますが、旬のものはシンプルにそのまま食べるのが一番美味しい頂く方法です。
秋になると、毎年北西部山岳地帯の棚田を鑑賞する観光客は、この地に住むティ(tay)族、タイ族、ヌン族、ザイ族、モン族などの少数民族の新米を祝う「コム」祭りを楽しみながら、各民族の「コム」を味わうことも出来ます。ここまで聴くと、リスナーの皆さんはこの辺でタイ族のコムの作り方について知りたくなるでしょうね。
イエンバイ省ムカンチャイ県ナムコ村に住むタイ族によりますと、「コム」の原料は「タン」、あるいは「ルオンフォン」と名付けられるもち米の種類で出来ています。
「コム」に用いられるもち米は、籾に白い汁が付いている未成熟なものでなければなりません。「コム」がねばねばして良い香りを保つために、籾は収獲直後に「コム」として加工されなければならいそうです。籾は収獲されたあとに、雑草をとり、綺麗に洗い、乾燥させます。続いて、その籾は噛んでみると柔らかく、いい香りが出るまで中火で炒ります。
その後、直径約30センチの平たいざるに入れて、冷やしてから、杵でついて籾殻を除き、これを大きなザルに入れて振ります。
ナムコ村のロ・ティ・ヒエンさんは次のように明らかにしています。 (テープ)
「炒った後のもみは冷やしてから、搗かなければなりません。もし、熱いうちに搗くと、コムに粒が付着してしまいます。搗きながら、籾殻を取り除きます。すると籾がらが外へ飛び、コムだけが残ります。」
現在、ナムコ村では、およそ420ヘクタールの稲作面積の半分はもち米の栽培地があります。かつて、地元の女性たちは、家庭内の保存食、あるいは親戚へのお土産として、コムを作りました。現在までは、観光客の為に、コムを作って生計を立てる家庭も多いです。タイ族のコム作り職業を維持する為、ナムコ村コタイ村落に住むロ・タイン・フォンさんは次のように明らかにしています。
(テープ)
「粘りのあるコムを作れる為には、お婆さんやお母さんの手先の器用さが必要です。もし、祖母と母が年老いて、この仕事が出来なくなったら、私たち若い女性はその仕事を継承します。タイ族のコムの美味しさを保ちたいから」
ベトナム北西部山岳地帯へ足を運ぶ機会がありましたら、現地の秋の味覚「コム」を是非楽しんでみてください。