バンキエウ族の新米祭り

（現場の音）新米祭りの準備雰囲気

バンキエウ族は、収穫が終わり、倉庫がコメでいっぱいになったら、村に豊作をもたらしてくださった神様に感謝するために、お供え物を準備しなければならないと考えています。クアンチ省ダクロン県の文化研究者ホー・フオン氏によりますと、新米祭はバンキエウ族にとって最大の祭りの一つで、毎年旧暦の1１月から12月の間に開催されます。かつてはそれぞれの家庭で新米祭りが行われることが多かったのですが、近年、一族が行うのが一般的であるとしています。文化研究者フオン氏は次のように語りました。

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「新米祭りは、収穫後に行われます。この祭りは村や家族が旧正月テトを迎える機会でもあります。旧暦 11 月の終わりか12 月の初めごろ、村人は新米祭りを行い、お互いに幸福や幸運を祈り合います。祭りの後は、次の耕作に備えます」

クアンチ省ダクロン県に暮らすホー・ニャーさんは、バンキエウ族は新米祭りで、最も大きくて美しい米粒を稲の神様に捧げ、これからも豊作と豊かな生活を与えてくださるよう神様に願うとし、次のように語りました。

（テープ）

「参拝の際には新しい稲穂をお供えものとして持参します。稲穂は大きくてふっくらとした丸い種を持つものが選ばれます。こうした厳選された稲穂は、鶏や豚などとともに稲の神様と先祖にお供えされます」

新米祭りのお供え物

新米祭りは、その年の収穫を神に報告するとともに、一年間の良い天候と平穏な生活を与えてくれた神様に感謝する機会であり、家族や一族の全員がお互いに訪れて家族団らんを楽しむ機会でもあります。また、祭りは村人が集まって豊作の喜びを分かち合って村のつながりを強くするよいチャンスでもあります。ダクロン県アブン村に暮らすホー・バン・ホアさんは、新米祭りは一族の規模で行われるが、友人や村人も招くのが一般的であると述べ、次のように語りました。

（テープ）

「新米祭りには、ほかの一族の代表を招待します。これは村人のふれあいとつながりを示しています」

その年に不作や不運などに遭った家族の場合は、翌年に豊作や幸運がたくさん訪れるようにというお願いを神様に伝えるために、より多くのお供え物を用意します。先ほどのホアさんは次のように語りました。

（テープ）

「収穫の前、洪水などのせいで、畑は崩れ、米やトウモロコシは水に流されてしまった場合、その家族は神様に詫びる目的でヤギを捧げなければなりません。また、次の収穫が豊作となりますように神様のご加護を祈ります」

現在、バンキエウ族の新米祭りが村や集落の規模でも開催されています。祭りの開催日が近づくと、村人のみんなで話し合い、準備を進めます。各家庭の状況に応じて祭りのお供え物を寄付します。しかし、お供え物が米であろうと、鶏、豚、ヤギ、牛、水牛であろうと、それらは家族自身によって育てられ、または植えられなければなりません。

お供えの準備が終わると、祭りを行う日の朝、全員が村の集会所に集まったあと、村長の主宰の下、神様と先祖を祭りに招待する儀式が行われました。その後、村長は村人を代表して、農作物や家畜などに対する神様の加護を内容とする神様へのお祈りをします。また、土地が常に肥沃であること、労働が常に安全であること、鳥や野生動物が田畑を荒らさないこと、稲が絶えず成長し繁栄すること、穀物が豊かに実ることなども祈ります。

現在、クアンチ省はバンキエウ族の新米祭りを地元の文化遺産とし、観光開発に活用する方針です。