ラオカイ省スアンアイ村 カオラン族の民謡と民族舞踊

(VOVWORLD) - 今日の「ベトナム54民族の色彩」のコーナーでは、ベトナム北部のラオカイ省にあるスアンアイ村から、カオラン族の美しい文化をお届けします。

スアンアイ村は農業を中心とした村です。ここには、人口の約1割にあたるカオラン族の人々が暮らしています。彼らは何世代にもわたって、美しい民謡と舞踊の伝統を大切に守り続けてきました。

ラオカイ省スアンアイ村 カオラン族の民謡と民族舞踊 - ảnh 1カオラン族の舞踊

(カオラン族の民謡「シンカ」

まず、カオラン族が最も誇りにしているのが「シンカ」という民謡です。カオラン族の人々は「カオラン族のいるところには必ずシンカがある」と言います。このシンカは、ベトナムの国家無形文化遺産にも認定されています。

シンカには色々な種類があります。新年をお祝いする歌、男女が愛を語り合う求愛歌、結婚式で歌われる華やかな歌、みんなでなぞなぞを楽しむ歌、そして赤ちゃんを寝かしつける子守歌まで、生活のあらゆる場面に歌があります。

地元に住むリー・ティ・ウンさんにお話を伺いました。

(テープ)

「子守歌を例にとると、本当に美しいメロディーで、歌詞も心に響くものばかりです。高い音から低い音まで、変化に富んでいて、聞いていて飽きることがありません。私たちは、こうした民族の宝物を次の世代にもぜひ伝えたいと思っています」

カオラン族の人々が集まると、故郷の美しい風景を歌で讃えます。農作業で疲れた時には、働く喜びや豊作への願いを込めた歌を歌います。そして若い男女が恋をした時には、歌に思いを込めて愛を伝え合うのです。

このシンカの歌詞は、中国の漢詩と同じような七言絶句の形で作られています。4行で1つの歌になり、1行に7つの文字が入ります。歌う時は言葉を繰り返しながら、とても美しく響かせるのが特徴です。

(舞踊のベース音楽である太鼓の音)

さて、シンカと並んでカオラン族が誇りにしているのが民族舞踊です。太鼓の音に合わせて踊るこの舞踊は、主に宗教的な行事や先祖への供養の時に披露されます。

文化研究者のホアン・タイン・ビンさんによりますと、「カオラン族の舞踊は太鼓のリズムがとても豊かです。『カック、カック、シン、カーシン』という音で、太鼓の面を叩く音と縁を叩く音を巧みに組み合わせているんです」とのことです。

ラオカイ省スアンアイ村 カオラン族の民謡と民族舞踊 - ảnh 2文化研究者のホアン・タイン・ビンさん(右)

舞踊の内容も興味深いものばかりです。たとえば「小エビ取り踊り」は、村の少女たちが川で小エビを捕まえる様子を表現した可愛らしい踊りです。「米搗き踊り」は、豊作をもたらしてくれた農業の神様への感謝を込めた踊りで、新米を食べる喜びも表現しています。そして「鳩のつがい踊り」は、田んぼに降りてくる鳩のつがいを通して、恋人同士の愛情を美しく表現した踊りなんです。

ホアン・タイン・ビンさんは次のように説明してくれました。

(テープ)

「これらの舞踊は、豊作の時期やお祭りの時に生まれました。農民の仕事、つまり種まきから収穫、脱穀、精米まで、すべての作業が踊りの中に表現されています。足で跳ねるような動作が踊り手を高揚させ、力強い動きが舞踊の魅力を作り出しているんです」

こうした美しい文化を守るために、カオラン族の人々は一丸となって努力しています。地元のリー・ティ・ビンさんの話です。

(テープ)

「カオラン族として生まれたことを心から誇りに思っています。最近は地域の文化祭にも参加して、私たちの伝統芸能を披露しました。多くの人に関心を持ってもらい、子どもたちが自分たちのルーツを知ることができるよう願っています」

現在、地方政府も文化保護に力を入れています。若い世代を対象とした研修クラスを開いたり、各地区にクラブを作って、シンカの歌や舞踊、民族衣装、伝統料理などを教え合う活動を支援しています。

このように、スアンアイ村のカオラン族の人々は、歌と踊りを通じて、自分たちの豊かな文化を大切に守り続けています。彼らの取り組みは、私たちにも文化の大切さを改めて教えてくれるのではないでしょうか。

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