高齢者の長寿祝いに飾り幕を贈るテーイ族とヌン族の習慣

(VOVWORLD) - 少数民族テーイ族とヌン族は高齢者の長寿を祝うために飾り幕を贈り、家の中に飾り付ける習慣があります。この習慣は高齢者を尊重し、子どもとして親孝行をしなければならないというテーイ族とヌン族の伝統文化の一部です。
高齢者の長寿祝いに飾り幕を贈るテーイ族とヌン族の習慣 - ảnh 1コーサウ市場にある飾り幕を売るブース

北部山岳地帯のカオバン省チュンカイン県チュンカイン町にあるコーサウ市場に入ると、高齢者の長寿を祝うための飾り幕を売るブースが数カ所見かけられます。飾り幕は幅が80センチ、長さが2メートル~2.5メートルであるのが一般的です。また、その色は赤かピンクでなればなりません。

飾り幕を売っているリー・タイン・ロンさんは、テーイ族とヌン族の考えでは、赤とピンクは幸運をもたらす色なのであると述べ、次のように語りました。

(テープ)

「この25年間、この仕事を続けています。飾り幕は高齢者の長寿を祝うためで、1枚9万ドン(日本円で500円)です。飾り幕を通年売っていますが、良く売れる期間は高齢者の長寿祝いの式が行われる旧暦の10月から翌年の2月までです」

テーイ族とヌン族のかつての考えでは、49歳は人生の第1期が終わった節目で、49歳になると、長寿祝いの式を行わなければなりませんでしたが、現在、平均寿命がのびたため、61歳になってはじめて長寿祝いの式を行うことが一般的です。式に招待される人は飾り幕を用意します。飾り幕の真ん中にはお祝いの意味を持つ対句と大きな漢字が、下には贈る人の名前を記します。長寿祝いを受ける人の年齢によって漢字は異なります。49歳の人であれば、幸福の「福」ですが、61歳の人であれば、寿命の「寿」となります。そして、73歳であれば、健康の「康」ですが、85歳になると、この3つの漢字のほか、丁寧の「寧」といった4つの漢字が贈られます。飾り幕のほか、衣服やスカーフ、帽子、お金もプレゼントします。

高齢者の長寿祝いに飾り幕を贈るテーイ族とヌン族の習慣 - ảnh 2飾り幕を紹介しているダム・ダンさん

飾り幕を売っているダム・ダンさんは、飾り幕に記される対句と漢字は贈る人の気持ちを示していると述べ、次のように語りました。

(テープ)

「飾り幕の長さは2メートル~2.5メートルで、おおよそどれも同じサイズですが、対句の内容が異なります。普及している対句が書いてある飾り幕がありますが、子どもが両親に贈る場合は特定の対句を書くのが一般的です。いずれにしても、対句は幸せや楽しみ、長寿などを意味するものです。1月には飾り幕がよく売れます、1日に40枚から50枚売った日もありました」

一方、カオバン省チュンカイン県ゴックチュン村に暮らすロ・ティ・ティエウさんは、飾り幕はテーイ族とヌン族の伝統文化を支えるものであると述べ、次のように語りました。

(テープ)

「私は、61歳のお父さんの長寿を祝うため、この飾り幕を買いました。子供の頃、両親が祖父母に飾り物を贈ったのをみて、その伝統を受け継いでいます。高齢者が61歳、73歳、85歳になれば、長寿の祝い式を行います。飾り幕は新築祝いにも使われますが、長寿の祝い式には欠かせないものです」

テーイ族とヌン族の家に入ると、中央の部屋にかけられた飾り幕を良くみかけます。これからも、この伝統は引き続き受け継がれていくことでしょう。

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