(VOVWORLD) -シルク織りで有名なバンフック村は、ハノイ中心部から車で30分程のところにあります。
バンフック村 |
この村のシルク産業は長い歴史があり、9世紀頃に始まったそうです。当時の王族の女性が、村人に桑の栽培から、蚕の飼育、絹織りを教えたと記録されています。この女性は死後、村の神様として祀られたということです。祠の中には、村の歴史を記す石碑と昔の織り機が今も残っています。1802年から1945年までのグエン朝時代に、バンフック村のシルク製品は、王族の衣服として用いられ、広く愛用されてきました。1931年にはフランスのマルセイユ見本市に初めて出品されて、インドシナの逸品と高く評価されました。ドイモイ初期の1990年代以降は、多くの国に輸出されるようになりました。バンフック職業村協会会長の話です。
(テープ)
「現在、バンフック村では、164世帯が絹織りに従事し、100の絹織物店があります。これから、伝統職業を守りつつ、観光地として、バンフック村を観光職業村としていく計画です。」
この村の絹織物は、1200年以上の歴史があると言われていますが、その時代の流れの中で、シルクの人気がなくなり、織物産業自体がなくなるのではという時もあったそうです。そうした中でも、村の伝統を守り続けてきた人達がいます。そのうちの1人が、先祖代々、シルク工房を営んできたチエウ・バン・マオさんでした。
シルク工房 |
伝統的なシルクの柄を集める収集家としても有名で、昔に途絶えてしまったシルクの模様を再現したりしました。マオさん亡き後は、子や孫が跡を継いで、職人となっています。現在はマオさんの義理の娘であるグエン・ティー・タムさんが工房のオーナーです。
タムさん |
タムさんの話です。
(テープ)
「父は絹織りが好きで、この仕事に夢中でした。優れた工芸品に送られる国家の賞などいくつも受賞しています。私も、この家の伝統職業を、一生懸命やっていきたいと思います。」
バンフック村に規模が大きいシルク工房ができたため、シルク製品は昔に比べて豊
富になっています。独特な物を作るためには、生産工程の工夫や職人の技術が不可
欠です。シルク工房で働く女性が、絹織物の作り方を簡単に説明しています。
(テープ)
「絹作りは、まず、繭を丸ごと茹でます。それを箸でよくほぐして、糸にします。その糸を絹織りに使います。一日平均で、5メートルから6メートルの生地が織れます。織った後の絹は染色されます。」
バンフック村のシルクは、蚕の繭からとった動物繊維のため、表面に上品な光沢があって、生地は柔らかくなっています。種類も豊富で美しく、丈夫だと評判です。先ほど話を聞いたシルク工房のオーナー、タムさんの話です。
(テープ)
「バンフック村の伝統的なバンシルクは、今も有名です。生産は主に手作業です。生地はとても軽くて、なめらかな風合いですが、皺が出きにくくなっています。しなやかな感じで、着心地がいいんです。バンフックならではの特徴です。」
長い歴史の中、世代交代を続けて、バンフック村は伝統職業を守ります。