洪水を利用して生きるメコンデルタの人々のたくましさ


洪水を利用して生きるメコンデルタの人々のたくましさ - ảnh 1
写真:Cửu Long

ベトナム南部メコンデルタ地域では、毎年8月から11月にかけて、メコン川の上流で発生する洪水の為、メコンデルタ地域全体が浸水します。この定期的な洪水シーズンは、メコンデルタ地域における自然的現象となっていますが、この地域に住む多くの住民にとって自然災害という認識はありません。洪水が、農水産物などに多くの恵みをもたらすからです。

長年にわたり、洪水が発生すると、地元住民は農作業の変わりに、豊かな水産物の水揚げで生計を立てています。また、洪水は、農地を休ませ、メコンデルタ地域全体の土壌に肥沃な砂や粘土を運んできてきます。そこで、今年9月中旬に、メコン川の上流から流れ込んだ泥水は、ドンタップ省、アンザン省、キエンザン省などの農民を喜ばさせています。ドンタップ省ホング県に住むフィン・バン・ナム農民は次のように語りました。

(テープ)

「メコン川の上流から下流に多くの水が流れ込むと、大量の魚介類が表れますから、水揚げ量は高いですよ。うれしいことです。」

このように語ったナムさんによりますと、彼が住んでいる周辺の農地では、今年初めからの干ばつにより、農業生産への打撃が深刻となり、多くの農民が、ビンズオン省、または、ホーチミン市へ出稼ぎに出て、日雇いの仕事で生計を立てているということです。しかし、この半月、この地域にある運河の水位が上昇してきました。そこで、出稼ぎに行かないナムさんと数十人の住民だけが、魚介類の水揚げの仕事に転職しました。ナムさんは一日、およそ16キロの川のカニを捕っています。このカニを1キロにあたり1万4千ドン、約70円ほどで販売する為、家族の生活が保たれるようです。一方、ドンタップ省タムノン町に住むファム・キム・チさんは「川の水位は9月頃に上昇した。前よりちょっと遅いけど、ないよりもあった方がよい。漁獲で生計を立てる住民はとても喜んでいた」と明らかにし、次のように語りました。

(テープ)

「メコン川沿いに住む人々は、主に稲作と漁獲の仕事で生活しているので、洪水がやってくると、お金になるのです。そのお陰で、生活が改善されてきますよ。」

ドンタップ省農業農村開発局のボ・タイン・ゴアン副局長によりますと、10月初めに、省内にある各河川の水位は上流から多くの水が流れ込んできたため、昨年より高かったですが、複数年の平均基準より低かったということです。ドンタップ省は、洪水に適応できるモデルの拡大を加速させると同時に、農業生産と水産物養殖を推進するため、水資源の主体的調整に向けた水利のインフラ整備に投資を行うとしています。

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