旧正月テトに立てられる「悪魔を追い払うネウ( Neu)の木」
大昔からベトナムに伝わる風習によりますと、「大晦日にネウ( Neu)という木を入り口に立て、7日目に、取り去ります。家の前にネウの木を立てるのは悪魔を追い払うとともに一年の平穏無事をもたらす意味があります。
現在、テトにネウの木を立てる風習はかつてのほど普及していませんが、多くの地方や家庭はこれを守り、悪を追放し、良い一年であることを願うとしています。ベトナム民族学博物館の研究者ブ・ホン・トゥアット氏は次のように明らかにしました。
(テープ)
「まず第一にベトナム人の考えではネウの木は天と地上を結びつける「宇宙の木」とされています。第2は、仏教の伝説ですが、この木は人間と鬼との紛争を解決するためのものでもあります。また、ある家庭の周辺の土地の境界として所有権を示すとともに、春がやってきたことを告げる木でもあります。」
ネウの木を立てるために、よく竹の木が選ばれます。先ほどのブ・ホン・トゥアット研究者は次のように語りました。
(テープ)
「ネウに使用される竹は害虫に強い、頑丈な木でなければなりません。また、竹薮の東方にある竹が選ばれ、高さは5メートルや7メートルの奇数です。広い地区に立てれば、もっと高い竹の木を使用することができます。」
現在、「テトにネウの木を立てる」風習が忘れられつつありますが、ハノイ市の郊外ドンアイン県、コーロア町の多くの家庭はこの風習を再現しています。コーロア町に住むチュオン・バン・ホンさんは「東は日が昇る方向なので、竹薮の東に生長する竹の木をネウの木に使用すれば日の光に恵まれ、あらゆる生物が成長、発展するという観念を説明しました。
各家庭はテトの間にネウの木を立て、周辺の土地に対する所有権を守り、神様により保護されていることを立証することが狙いです。ネウの木の頂上に鐘やパイナップルの葉や鶏の毛の束などが掲げられます。また、地方によって、ネウの木に掲げられる物が異なります。先ほどのコーロア町の住民チュオン・バン・ホンさんによりますと鶏の毛は自然の力、鐘は幸福を象徴するものです。また、藁や紙で作ったダミーも掲げられ、オンネウ(Ong Neu)、つまり「ネウおじさん」と呼ばれています。
ベトナム人はネウの木を立てる位置に気を使います。先ほどのベトナム民族博物館の研究者ブ・ホン・トゥアット氏は「昔から、北部から中部トゥアティエンフエ省までの各地方はネウを家の前に、真ん中の部屋に面して立て、ネウの先端は家の方に向ける」と明らかにし、次のように語りました。
(テープ)
「真ん中の部屋は祭壇が置かれる場所で、最も神聖なところです。ネウの木は祖先の祭壇と家の中への悪魔の侵入を防ぐものとされています。ベトナム人の観念では真ん中は最も重要ですから、ネウを中央に立てて、幸運とご利益かつ順調な生活を願います。」
ただ、家の前に建てられるネウの木ですが様々な意味や人間の願望が含まれています。年末にネウの木を立て、明るい新年が訪れるよう祈ることにしましょう。