アメリカ・ロシア関係をめぐる問題

(VOVWORLD) - この間、アメリカとロシアの関係は冷戦終結以来、最悪の状況となっています。双方は、非難し合い、制裁措置と報復措置をとっています。シリアでの化学兵器の使用をめぐる対立により、両国の関係は敵対関係になっています。特に、武力衝突が発生する可能性もあります。
アメリカ・ロシア関係をめぐる問題 - ảnh 1        (写真:TTXVN)

ロシアの元スパイに関する矛盾が解決されないまま、シリアでの化学兵器の使用に関する疑いは、米ロ関係を悪化させています。アメリカがシリアに対し武力を行使すると警告しているのに対し、ロシアは「化学兵器の使用に関する情報はでっち上げたものに過ぎない」として反論し、対抗措置をとるとしています。

衝突の根源

実際、冷戦時代に敵対していた米ロ関係は、近年、緊張が高まっています。その始まりは、1999年にアメリカの主導によるNATO=北大西洋条約機構がユーゴスラビアの内政に干渉したことです。

続いて、2003年に行われたイラクへの攻撃も双方の関係悪化に繋がりました。加えて、ロシアのクリミア編入により、米ロ関係の緊張が高まりました。双方は、「批判・反論」の程度にとどまらず、制裁措置と報復措置を互いにとってきました。

アメリカがロシア人政治家と実業家を対象に入国禁止や、資産凍結などの措置をとったことに対し、ロシア側はアメリカ人外交官を国外追放することを決めました。さらに、アメリカがロシアは2016年のアメリカ大統領選挙に干渉したと告発したことにより、両国間の緊張が高まりました。

そのほか、イギリスで発生したロシアの元スパイの毒殺未遂事件に関し、双方は互いに、責任を押し付けあっています。アメリカはロシアの38の団体と個人を制裁リストに盛り込んでいますが、ロシア側はその報復措置として、アメリカの60人の外交官を国外に追放するとともに、サンクトペテルブルク駐在アメリカ総領事館を閉鎖することを決定しました。

暗い未来

2009年、当時のオバマ大統領とメドベージェフ大統領は関係の「リセット」を発表しましたが、それ以来も緊張が続いています。ロシアが自国の安全保障を脅かす行為に対し強固な姿勢を示している一方、アメリカは自国の影響力拡大計画を阻止する国を受け入れない態度を見せています。

そして、ロシアも、アメリカも、戦略的位置を持つシリアを含め中東地域での自国の影響力を失いたくないといえます。

こうした中、キプロスにある複数のイギリス空軍機がシリアに対する攻撃を実施するために完全な臨戦態勢に入っていることや、アメリカが地中海に駆逐艦「ドナルド・クック」や、オハイオ級原子力潜水艦「ジョージア」などを展開していることなどが伝えられています。

一方、ロシアとシリア軍はいずれも臨戦態勢にあります。アナリストらは、これらの動きから見れば、ロシア・アメリカ間の緊張関係は早期に改善できないであろうと指摘しています。

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