22日、アルゼンチンのクリスティーナ・フェルナンデス大統領はロシア訪問を開始しました。今回の訪問は、外交通例でảうだけでなく、様々な目的があると評されています。南米地域で影響力を再確立したい意向のあるロシアにとってアルゼンチンは重要な相手国である一方、イギリスとの領有権争いを抱えているアルゼンチンにとってロシアの軍事協力は欠かせないものと見られています。
2014年7月に会ったロシアとアルゼンチン大統領(写真:AFP)
関係国のメディアは「2日間にわたる今回の訪問で、プーチン大統領とフェルナンデス大統領は核エネルギーや、貿易などの分野での協力強化策を討議する予定だ」と伝えていますが、国防協力が主要議題となることが予測されています。
国防協力の強化
ロシア国防省によりますと、先週、ロシアとアルゼンチンは、世界情勢が複雑に推移している背景の中で両国間の国防関係の格上げを目指す計画で一致しました。これより前に、昨年7月、プーチン大統領はアルゼンチンを訪問しました。その際、アルゼンチンと原子力エネルギーに関する協定に署名しました。
また、国防協力についても話し合い、これを新段階における重要な役割を果たすものとして見做しました。昨年12月末、イギリスの新聞デイリー・エクスプレスは、「アルゼンチンがロシアからスホイSu-24型戦闘爆撃機12機のリースを受け、バーターで小麦・肉を輸出することを報じました。
そして、今回のアルゼンチン大統領の訪問にあたり、両国は軍用器材売買契約を締結し、国防・安全保障分野における戦略的パートナーになる見通しです。
互恵関係
これまで、ロシアとアルゼンチンの関係は良好に発展してきましたが、まだ、戦略的パートナーシップに達していません。しかし、最近、ロシアは欧米諸国の制裁対象となっており、新しい輸出市場を探さざるを得ない状態です。
こうした中、アルゼンチンは重要な提携先として浮上しています。特に、アルゼンチンの国防力の向上を支援することを通じて、アルゼンチンと領有権を争いながらロシア制裁を支持しているイギリスに報復することも図られます。
一方、マルビーナス諸島(イギリス名フォークランド諸島)の領有権をイギリスと紛争しているアルゼンチンにとって、軍事力を高めることは差し迫った問題となっています。昨年秋、イギリスのメディアで、アルゼンチンの空軍力強化が報じられ、領土問題が改めて緊張を増しました。
また、昨年10月、アルゼンチン国防省は総額30億ドル相当の戦闘機サーブ・グリペンNGを24機の購入に関する交渉を開始したと発表しました。こうした中、アルゼンチンにとって、ロシアの協力は意味深いものと見られています。
今回のアルゼンチン大統領のロシア訪問はイギリスや、アメリカの注目を集めています。というのは、これはロシアの南米進出に有利な条件を作り出す一方、欧米諸国に新しい試練をもたらす可能性があるからだと評されています。