イランとアメリカとの関係緊張について
イランの核問題をめぐり、同国とアメリカとの対立は政治、経済、外交、及び軍事の分野でも高まっています。イラン海軍は24日、ホルムズ海峡で10日間の軍事演習を始めました。核開発疑惑を巡る非難の高まりを受け、イラン政府はアメリカ主導の原油禁輸制裁の本格発動や、アメリカやイスラエルによる軍事攻撃を警戒しました。原油輸送の要衝で軍事演習を展開することで、「有事の海峡封鎖」をちらつかせ、国際社会をけん制する狙いがあるとみられます。
イラン海軍のサヤリ司令官は会見で「演習の目的はイラン軍の防衛、抑止能力を示し、周辺地域に平和と友好のメッセージを届けることだ」と語りました。
海上輸送される世界の原油の約4割がホルムズ海峡を通過するとされ、海峡の通航に支障が出れば、原油市場に大きな混乱を招く恐れがあります。こうした中、アメリカ国務省は22日、イランを拠点に活動し、国際テロ組織アルカイダへの資金供給で大きな役割を果たしているとして、シリア生まれのヤシン・スリ幹部に最大1千万ドルの懸賞金を懸け、情報提供を呼び掛けると発表しました。同国務省は声明で、イラン政府とアルカイダとの密接な関係を指摘し、イランを強くけん制しました。これに対し、イラン外務省のメフマンパラスト報道官は25日、アメリカ国務省が指摘したことについて「アメリカ政府の愚かなシナリオにはまったく根拠がない」などと非難しました。報道官は「アメリカ政府の発表には政治的な意図があり、国際社会の安全を脅かすものだ」と強調しました。また、「国際社会はアメリカ政府の無責任な振る舞いがもたらす影響を考慮し、深い懸念を示す必要がある」などと述べました。
他方、イラン外務省報道官は13日、イラン東部で押収されたアメリカの無人偵察機が領空侵犯していたことを強調し、機体の返還を求めるアメリカのバラク・オバマ大統領に冷笑を浴びせました。イラン外務省のラミン・メフマンパラスト報道官は13日の定例会見で、「どうやらオバマ大統領は、イランの領空が侵犯され、スパイ活動が実行され、国際法が犯され、イラン国内の事柄が妨げられていたということを忘れているようだ。正式に謝罪してこれらの行為を認めるどころか、彼らはこのような要求をしている」と述べました。
こうした事情の中、アメリカ財務省は20日、イランへの圧力の一環として、地中海のマルタを拠点とする海運会社10社に対し、資産凍結などの制裁を科したと発表しました。他方、オバマ大統領は16日、東部メリーランド州で開かれたユダヤ系団体の集会で演説し、アメリカとイスラエルには共通の価値観に根差した「特別な絆」があると強調し、両国にとって「重大な懸念はイランの核計画だ」として、イランの核保有を「断固阻止する」と表明しました。一方、アメリカのパネッタ国防長官が、イランの核兵器開発能力について「1年以内に核爆弾の保有が可能」との見方を示し、イランが核爆弾製造に実際に動き出した場合、軍事力行使を含む「あらゆる必要な措置で阻止する」とも述べました。
こうした動きは双方の深刻な関係緊張を示しました。この緊張は近い将来に、緩和することはできないと見られます。