(VOVWORLD) - アメリカのトランプ大統領はイラン核合意離脱を表明しましたが、関係諸国はこの合意を維持するために努力しています。しかし、これは容易なことではないと評されています。
トランプ氏が離脱の決定を下してからこの数日、イラン核合意の今後の行方は世論の注目を集めています。イラン側は、欧州諸国がこの合意の維持を支持することを条件として、その履行を継続すると確認しました。一方、アメリカはイランとのビジネスを続ける企業に対し制裁措置をとると警告しています。
独露両首脳(写真:vtv) |
状況を挽回するための努力
実際、アメリカが離脱しても、関係国はその合意を維持したい意向があります。EU=欧州連合は16日夜、ブルガリアの首都ソフィアで非公式首脳会議を開き、イラン核合意からのアメリカの離脱問題を協議しました。
アメリカがイランと取引する第三国企業への制裁復活を示唆する中、欧州メディアによりますと、加盟28カ国全体は対イラン制裁解除を柱とする核合意の維持を確認し、「結束した対応」を取ることで一致しました。
また、これに先立つ15日、イランのザリフ外相とイギリス・フランス・ドイツの外相、EUのモゲリーニ外交安全保障上級代表はブリュッセルで会合を開き、アメリカ抜きでの核合意の維持に向けた方策を話し合いました。
EUのモゲリーニ外交安全保障上級代表は記者会見で、「核合意の維持に向けた現実的な解決策を見出そうと努めている」と説明し、解決策では、イランからの原油輸出と欧州の銀行によるイラン国内での営業の継続を目指すとしました。
また、EUは合意署名国の中国やロシアと連携し、アメリカの離脱後も核合意を堅持することを目指しています。イランのザリフ外相も訪欧に先立ち、中国とロシアを続けて訪問しました。
さらに、ドイツとフランスの首脳らはロシアを訪問し、プーチン大統領と共にこの問題を協議する計画もあります。そして、ロシアのプーチン大統領はIAEA=国際原子力機関のトップと会合する予定があることを明らかにしました。各国は状況を挽回するために取り組んでいますが、有効な打開策につなげるには悲観論が強いです。
難題
EUの焦点は、イランと取引する欧州企業に対する2次制裁の回避です。核合意を受けた制裁解除に伴い、欧州とイランの貿易額は2倍以上に拡大します。しかし、トランプ大統領はイランと取引するいかなる国も「最高レベルの制裁」の対象となると明言しています。
EU側は同日、ザリフ外相を除いた会合で制裁回避とイランとの経済関係を維持するための具体策を協議しました。EU筋によりますと、加盟国で今後数週間かけて集中的に協議し、EUの規定に基づく保護措置やフランスが主張する世界貿易機関への申し立て、欧州投資銀行などEU機関による対イラン融資などを検討します。
他方、EUとアメリカは互いに最も重要なパートナーとなっており、その関係悪化は双方に多大な損失をもたらします。こうしたな中、この問題をスムーズに解決することは容易ではありませんが、EUの利益とは直接的な関係があります。
理論的には、アメリカがイラン核合意から離脱しても、残りの関係国はその履行を継続することができます。しかし、その履行がどのレベルに達するかはEUがどの程度までアメリカとの同盟関係による利益を犠牲にすること次第です。したがって、有効な打開策が出るまでの道のりは容易ではないでしょう。