シリアの緊張情勢


先ごろ、シリアの主要な反体制派組織は現地で安全保障状況や人道状況が悪化していることを理由にして、和平協議への参加を見合わせることを決めましたが、これは協議決裂や、このおよそ6年間続いているシリア内戦の行き詰まり状態の深刻化に繋がる恐れがあると懸念されています。


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シリアの複数の地方で戦闘が続く(写真:Baomoi)

スイス・ジュネーブでのシリア和平協議で、国連のデミストゥラ特使は18日、反体制派代表のHNC=最高交渉委員会の代表団が協議への公式参加を停止したことを明らかにしました。シリア国内での戦闘再燃に反発したためで、現地情勢が改善されなければ協議が頓挫する恐れもあります。


不一致点

HNCは同日の声明で、「アサド政権による停戦違反を止めるための短い停止」としましたが、HNC関係者は報道界に「交渉が崩壊すれば、政権の責任だ」と述べています。協議は2月末の停戦発効後、3月に再開しました。

その第2ラウンドが4月13日に始まりましたが、移行政権でのアサド大統領の処遇をめぐり、膠着(こうちゃく)状態が続いています。一方、シリア北部アレッポ周辺では戦闘が激化し、反体制派は「政権側が停戦を破っている」と非難しています。18日には主要武装勢力が攻撃再開を宣言し、他の都市でも大規模な戦闘が発生しました。また、反体制派は中部ハマに部隊を進めており、一方の政府軍はホムスで大規模な空爆を行いました。

こうした中、2012年にシリア首相を務め、現在は反体制派代表のリヤド・ヒジャブ氏はロイター通信に対し、「停戦の条件を満たしているのか疑問だ。シリア国民は危機にさらされている」と述べました。


緊張のエスカレート

双方間の交戦は深刻な人的被害を引き起こしています。シリア人権監視団によりますと、19日、シリア北西部のイドリブ県の2つの町で空爆があり、少なくとも44人が死亡しました。 政府軍による空爆とみられ、犠牲者には、女性や子どもなど一般市民が多く含まれているということです。

反体制派と政府の間では、2月下旬に、一時停戦が成立していましたが、この数日も複数の都市で大規模な戦闘が行われるなど、両者の関係は悪化し、停戦崩壊が現実味を帯びてきました。これに対し、国際社会は深い懸念を示しています。

国連のデミストゥラ特使は、「停戦は多くの地域で維持されている」との見解を示す一方、戦闘の増加は「実に心配だ」と強調しました。アメリカホワイトハウスによりますと、オバマ大統領とロシアのプーチン大統領も18日、電話会談し、停戦維持への努力強化で一致しました。オバマ氏はアサド政権に対して攻撃停止への圧力をかける必要性を強調しました。

アメリカや、ロシア、欧州各国は協議続行を望んでいますが、反体制派の離脱により先行きは一層不透明になっています。



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