タイ国民投票 民生復帰へ期待


タイ国民投票 民生復帰へ期待 - ảnh 1
国民投票に行なったタイのプラユット首相(写真:THX/TTXVN)


軍政が2年以上も超法規的権力を握るタイで、民政復帰に向けた新憲法草案の是非を問う国民投票が7日に実施されました。即日開票され、選挙管理委員会の非公式集計によりますと、開票率94%の段階で賛成61%、反対39%となりました。この結果について、アナリストたちは、人々が政治的混乱を嫌っていることの証との見方を示しました。

賛成多数の理由は

タイでは10年以上にわたりタクシン元首相派と反タクシン派の抗争が続いてきました。2006年と2014年の2度のクーデターは、いずれもタクシン派の政権と反タクシン派の対立が極まった末に軍部が決行し、政権崩壊に追い込みました。

今回の草案の狙いが「軍を中心とする伝統的な保守エリートが、タクシン派政党を支持してきた多数派の国民を統制しようとする試みであるという意見が多くの専門家から出されています。新憲法下で総選挙を実施して軍政から民政に復帰しても、軍は自らが任命する上院などを通じて政権をコントロールし、引き続き政治の実権を掌握することが可能になるのです。

草案に対しては、タクシン派をはじめとする多くの政治家が反対を表明してきました。そして、「この憲法で生まれる政府を『民主主義』と呼ぶことはできない。タイ史上最悪の憲法だ」など、識者からも批判の声が相次ぎました。

一方、政治対立による混乱の再現を恐れ、安定の継続へ制限された「民主主義」を選択して賛成票を投じた有権者も多いです。多くの国民は、軍政下で治安がおおむね保たれてきたことを評価し、軍に政治の安定を託すことを選択したと言えます。

政党の反応

開票結果を受け、タクシン元首相派のタイ貢献党のウィロート党首代理は記者会見で「前の憲法に比べ民主主義は後退している」と指摘しました。同党は今回の国民投票の投票率は5割強と、軍政がめざした7~8割を大きく下回ったことは国民大半の態度を示していると批判しました。

また、今回の国民投票では、軍政が「混乱防止」のためとして賛否を呼び掛ける活動を禁じました。特に反対運動を厳しく取り締まり、タクシン派の活動家ら百人以上を逮捕しました。言論統制により、議論が深まらず、投票結果に影響した可能性もあるとの意見もあります。

タクシン派のほか、反タクシン派の民主党の一部も反対していましたが、民主党の党首を務めるアビシット元首相は、国民投票の結果を認め、他の政党に認めて欲しいとの姿勢を示しました。

今回の国民投票の結果により、2017年中の総選挙に向けて道筋はつきましたが、軍の政治的影響力が強く残り、民政移管といっても民主的な政治体制にはほど遠い形になりそうです。タイではタクシン派と反タクシン派が政争を続け、政治家の汚職も相次ぎました。2014年のクーデター後、軍事政権は強権的な政策によって、表向きは政治と社会に安定を取り戻しました。そのため、今回の投票で、国民は軍主導での安定的な民政移管を選んでいます。

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