タイのニワットタムロン首相代行は15日、バンコク郊外の空軍施設で、やり直し総選挙をめぐり選挙管理委員会と協議していた所、総選挙に反対するステープ元副首相率いる反政府デモ隊が施設の敷地内に乱入し協議は途中で打ち切られました。これより前の14日、タイ刑事裁判所はデモ隊の指導者30人に逮捕状を出しました。
バンコクでは15日未明に起きたデモ隊襲撃事件で3人が死亡、22人が負傷しました。プラユット陸軍司令官は事件を非難するとともに、今後も同様の事件が続けば「陸軍が出動し、暴力阻止のため全力で行動を取る」と強く警告する声明を発表しました。
総選挙をめぐっては、インラック前首相の失職前に政府と選管が7月20日に投票することで暫定的に合意しました。しかし、選挙管理委員会のソムチャイ委員は記者団に「7月20日の投票は不可能」と述べ、8月以降にずれ込むとの見通しを示しました。選挙になると反政府派は勝ち目がないため、ステープ元副首相は上院に暫定政権樹立を要求し、デモ隊は首相府前の占拠を再開しました。また、ステープ元副首相は、下院不在の中でのインラック氏の首相失職を受け、上院議長に「暫定首相」を指名することも要求し、タクシン元首相派の一掃に向けた新政権の早期樹立を図りました。
スラチャイ氏は、12日に国会でステープ氏と面会後、上院で3日間連続の緊急非公式会合を開きましたが、「上院は特定の個人を満足させることはできない」として要求を退けました。スラチャイ氏は反タクシン派の支持で上院議長に指名されましたが、暫定首相を指名すれば憲法違反に問われる可能性がありました。
タイでは先ごろ、失職したインラック首相を支持する組織「反独裁民主連盟」の支持者が、首都バンコクとナコーンパトムの境で、大規模な集会を開き、政権への支持と政権交代への反対を表明しました。
反政府派の妨害により、タイの下院総選挙が実施されるまでには、なお多くの困難に直面することが予測されています。今年2月2日に行われた総選挙も反政府派の妨害活動で立候補受け付けができないまま終わってしまいました。政府支持派と反政府派は自制をしなければ、タイの混迷が今後も深まることでしょう。