カンボジアのフンセン首相は、グエン・スアン・フック首相の招きに応じて、20日と21日の日程で、ベトナム訪問を行っています。この訪問は、両国間の伝統的善隣・友好関係と多面的協力をさらに発展させていくという両国の指導者らの決意を再確認するものと見られています。
フック首相とフンセン首相(写真:VGP)
ベトナムとカンボジアとの関係は長い歴史があります。地理的近さや、文化的類似点、共通の利益などが両国間の深くて広い関係を作り出す要素となっています。現在、両国は全方位外交政策を実施し、国際関係の多様化や、両国関係の強化に力を入れています。
全面的協力を促進
双方の決意と努力により、この数年間、両国関係は良好に発展し、それぞれの国の平和環境と安定の維持や、経済社会発展事業、国家主権の確保などに寄与してきました。両国は、「善隣・友好・全面的協力・長期安定」という協力枠組を設定しています。この数年間、両国間の各レベルの訪問団の交換が維持され、相互信頼の強化に役立っています。
また、経済協力は積極的な成果を収めています。現在、ベトナムは、カンボジアで30億ドル相当の183件の投資プロジェクトを実施しており、カンボジアに投資する50ヶ国・地域の中で5位に立っています。ベトナムの投資は農・林業や、エネルギー、金融、保険、郵政・通信、製造業、医療、建設など15の分野で展開されています。
一方、カンボジアは、ベトナムで5400万ドル相当の12件の投資プロジェクトを行っており、ベトナムに投資する103ヶ国・地域の中で49位となっています。貿易関係に関して、ベトナムは、カンボジアの3番目の相手国です。今年10月まで、両国間の貿易額は24億ドルに達しています。観光分野も重要な成果を収めています。2015年、カンボジアを訪問したベトナム人観光客数はおよそ100万人に達し、そして、ベトナムを訪問したカンボジア人観光客は21万人に達しました。
また、経済・文化・科学技術協力に関する合同委員会や、両国の国境地帯にある各地方間の開発協力会議などの協力体制も維持されています。両国の各省庁と地方の連携や、文化交流、草の根外交などを進めています。
善隣友好関係を強化
国防・安全保障協力も強化されています。両国は情報交換を強化するほか、国境線で発生した問題解決や、海上での共同巡査、カンボジア戦争中に行方不明となったベトナム志願兵の遺骨の捜索と返還などの活動でも連携しています。
両国は、敵対勢力が自国の領土を使って相手国に反対することを許さないという原則で一致しています。さらに、両国間の国境線を「平和、安定、協力、持続的発展」のものにするため、国境線画定と標識の設置作業を早期に完了するために取り組んでいます。
こうした中、今回のフンセン首相のベトナム訪問は、両国の指導者らが関係強化策などについて意見交換をするチャンスでもあり、両国間の伝統的善隣・友好関係と多面的協力の強化に寄与するものと期待されています。