バンゾック滝
先頃、ベトナムと中国は両国の国境線にあるバンゾック滝の観光資源保護開発協力協定とバクルァン川の河口における船舶往来の自由に関する協定を締結しました。これにより、両国は歴史が残した紛争に終止符を打ち、両国の協力に新しい時代を切り開きました。
ベトナムと中国は長年にわたりバンゾック滝とバクルァン川の河口に関する紛争が、続いてきました。これらの紛争はベトナム・中国国境線画定と標識設置合同委員会の交渉で取り上げられてきましたが、解決できませんでした。2008年、陸上におけるベトナム・中国国境線画定を完成させてから、両国はこれらの問題を公平、歴史的証拠の尊重、国境地帯における住民の生活安定の優先を基礎に、パッケージ対策として解決することで一致しました。
平等、相互尊重を基礎にした交渉
7年間にわたる数多くの交渉を経て、2015年8月、ベトナムと中国は交渉を終結し、さる11月6日行われた中国の習近平国家主席のベトナム訪問の際に、両国は両国の国境線上にあるバンゾック滝の観光資源保護開発協力協定とバクルァン川の河口における船舶往来の自由に関する協定を締結しました。これは平和、安定、友好、協力というベトナム・中国国境線作りに対する両国の決意を示しています。国境に関する政府委員会のチャン・コン・チュック( Tran Cong Truc) 元委員長は次のように語りました。
(テープ)
「これは大きな成果であり、双方の善意を示すとともに、65年間にわたるベトナムと中国の関係発展に歴史的意義があります。また、これは国境地域での互恵に向けて協力の継続を確保するものとなります。」
交渉に際し、ベトナムと中国は公平の原則を貫徹させた上で、1887年と1895年に当時のフランス植民地主義者と中国の清朝が締結した国境画定合意書を尊重しました。また、両国国民の利益にも配慮し、国際法を基礎に総合的な解決策の模索に取り組んできました。バクルアン川の河口における船舶往来の自由に関する協定とバンゾク滝の観光資源保護開発協力協定が締結されたことはベトナム側に属するバンゾク滝は中国により占拠されたという誤った情報を否定しています。先ほどのチャン・コン・チュック博士は次のように強調しました。
(テープ)
「これは正当で公平、平等に基づく合意であり、ベトナムは中国側に、また、中国はベトナム側に譲ることではありません。双方は率直な交渉を行なった結果、安定的な環境の維持やそれぞれの国の独立、主権の確保、そして、国境線の尊重で一致しました。」
互恵に向けての協力
世界随一の美しい滝とされているバンゾック滝は両国の国境線上に位置し、水力発電や観光発展の潜在力に恵まれています。また、バクルアン川の河口は船舶の往来の便がよく、交易の発展に有利な条件を作り出しています。これらの潜在力の開発に投資が進められています。
最近、ベトナムがインフラ整備への投資、心霊ツアーの開発を行なったことは国境地域での経済社会の変貌に寄与してきました。協定締結後、両国の関連各機関は、検問所の開設、住民の移転、標識設置にあたり発生する問題の解決、標識の保護と管理、水資源の開拓などを進めてきました。協定に基き、バクルアン川地域では、両国は双方の船舶の往来を図ることは重要な前進であると評価されていますが、それぞれの国の国防安全保障のために、緊密な連携が必要だと訴えています。
この2件の重要な法的文書の締結により、ベトナムと中国は陸の国境地域交渉を本格的に終了させました。これは、他の紛争の解決に向けた交渉の継続に大きな教訓でもあります。在ベトナム中国大使館の崔建国元大使は次のように語っています。
(テープ)
「前から残された2件の歴史的問題は平和的かつ友好的に解決されました。かつて、ベトナムと中国との関係には幾つかの問題がありましたが、現在では新たな前進を見せています。両国関係を良好に発展させる為には、我々はハイレベルの交流を強化し、相互信頼と相互理解をさらに深める必要があります。これは極めて重要なものです。」
65年にわたるベトナムと中国との外交関係樹立以来、両国は新たな段階に入っています。両国は信頼醸成、緊張緩和、衝突防止に向けた方針を掲げています。