ベトナム、地雷・不発弾による後遺症の克服に取り組む
英国の非政府組織の支援で地雷・不発弾の除去
(写真提供: Ho Cau)
ベトナムは地雷・不発弾による深刻な後遺症を受けている国の一つです。戦争が終結した1975年以来、地雷・不発弾による死者は4万人、負傷者は6万人を超えています。こうした事情を踏まえ、ベトナムは地雷・不発弾による後遺症の克服や被害者の支援を目指し、様々な活動を進めています。
「全国地雷・不発弾汚染状況調査」プロジェクトの結果によりますと、地雷・不発弾による汚染地域はおよそ680万ヘクタールでベトナム面積の20%を占めています。地雷・不発弾は国内各地に点在していますが、中部各省に集まっています。
地雷・不発弾の除去を促進
毎年、ベトナムは地雷不発弾の除去に1兆ドンあまり、約50億円を、地雷・不発弾による被害者の治療・リハビリや職業訓練に数千億ドン、約数億円を拠出しています。これまで、数億トンの地雷・不発弾が除去され、数十万ヘクタールの汚染土壌が解消されるとともに地雷・不発弾による被害を最小限に抑制されてきました。また、2010年以来、年平均、3万ヘクタールから5万ヘクタールで地雷・不発弾が除去されています。工兵部隊・地雷不発弾処理技術センターのギエム・ディン・ティンセンター長は次のように語りました。
(テープ)
「居住地での地雷・不発弾の除去は難航しています。計画を立てた後も、経費がなければ、除去を行なうことができません。一方で、住民は地雷・不発弾の危険性への理解が低く、販売目的で爆発物を取るため、不発弾を割ろうとしたことろ、死亡、負傷した人が出ています。また、農民は畑仕事をしている中、不注意に地雷・不発弾を踏んでしまった人もいます。」
地雷・不発弾による被害者が困難を乗り越え、生活を安定化させるよう、党と国家は常に地雷・不発弾による被害者の支援政策を労働法や障がい者法、2012年から2020年期の障がい者支援計画など障がい者優遇政策に盛り込んで実施するとともに、地雷・不発弾による被害者に対し、リハビリサービスの享受や社会復帰に有利な条件を作り出しています。労働傷病軍人社会事業省・社会補助局のト・ドク副局長は次のように語りました。
(テープ)
「労働傷病軍人社会事業省は各省庁・地方と協力し、障がい者、中でも地雷・不発弾による被害者のリハビリをはじめ、各種サービスの充実を進めています。今後、被害者の支援政策を点検し、被害者を適宜かつ全面的に支援することが狙いです。一方、被害者の支援の強化を目指し、各地方の政策運営能力の向上に取り組んでいきます。」
ベトナム、国際社会と地雷・不発弾による後遺症の克服に尽力
戦後、ベトナムに残された地雷・不発弾を全部除去するためには100年あまりを要し、100億ドル以上の費用を必要としています。また、地雷・不発弾汚染地域での再定住や社会安全保障は数十億ドルをかけると見積もられています。これまで、多くの国際組織は地雷・不発弾の除去や被害者の支援でベトナムを助けています。さきほどの労働傷病軍人社会事業省・社会保護局のト・ドク副局長は次のように明らかにしました。
(テープ)
「ベトナムは外国のパートナーと協力し、支援政策やサービスシステムの完備、地雷・不発弾の除去に携わる幹部、スタッフの業務能力の向上に取り組んでいます。一方、パートナーの勧めに従って、ベトナムは国連障がい者権利条約を批准しました。これは障がい者の保護ケアに対するベトナム政府の強い公約を示しています。」
先頃、労働傷病軍人社会事業省は政府に社会安全保障に関するデータベースづくり計画案を提出し、地雷・不発弾による被害者をはじめ、障がい者や社会保護の対象者に関するデータを集めることを目指しています。一方、同省はベトナム障がい者支援協会やベトナム退役軍人アメリカ基金、及び国際組織と連携して、地雷・不発弾による被害者に関するデータベースづくりを試験的に行ない、被害者のケア作業の効果向上を狙います。