ベトナム、文化を国家戦略の中心に 新たな発展モデル目指す
(VOVWORLD) - ベトナムが今、文化政策で大きな転換を図っています。先月開かれた共産党第14回全国代表大会では、文化と人材育成を国家発展戦略の中心に据えることが確認されました。
これに先立ち、今年1月、党政治局は「ベトナム文化の発展に関する決議」を採択しました。この決議は、文化を単なる精神的な基盤としてだけでなく、国家の持続可能な発展を支える重要な資源、原動力として明確に位置づけています。
グエン・ヴァン・フン文化スポーツ観光大臣 |
グエン・ヴァン・フン文化スポーツ観光大臣は、党大会で次のように述べました。
「今日、世界は知識、科学技術、イノベーション、そして文化的価値をめぐって激しく競争しています。この状況で、文化と人材の力を効果的に発揮することが、長期的な発展の優位性を確保する決定的な条件となります」
大臣はさらに、新時代のベトナム人を理想、知性、道徳、生活様式、創造性において全面的に発展させること、そして文化を経済、政治、社会と調和的に発展させることの重要性を強調しました。
今回の方針で特に注目されるのは、文化産業の育成です。従来、文化は「保護し支援するもの」と考えられてきました。しかし今回の決議は、文化を「投資して富と国力を生み出すもの」へと転換する方向性を明確に打ち出しています。
ハノイ世界文化祭での民謡「サム」の演奏。 |
文化は精神的価値を持つだけでなく、高い付加価値を生む産業として、国家のソフトパワーを高め、経済成長の新たな柱にするという位置づけです。これは政策思考の根本的な転換と言えるでしょう。
具体的な戦略として、ベトナム政府は複数の施策を同時並行で進めています。
まず、2030年までの発展戦略、2045年までのビジョンの中心に、人材育成を据えます。創造性、革新的思考、適応能力を育む文化環境の整備を目指します。
次に、文化と人材への投資を促進するため、制度や政策を整備します。民間企業や個人の文化活動への参加を奨励し、国家、企業、クリエイティブ・コミュニティ、市場、デジタル技術の連携を強化します。これにより、グローバルな創造産業の地図にベトナム文化ブランドの確立を狙います。
地方レベルでも独自の取り組みが始まっています。
世界遺産「フエの建造物群」を誇る中部フエ市では、文化資源を活用した新たな発展計画が動き出しています。フエ市党委員会のグエン・チー・タイ副委員長は、次のように説明します。
「フエを東南アジア有数の文化観光都市にすることが目標です。観光サービスの質を高め、新しい観光商品を開発します。文化産業と創造経済を育成し、アートセンター、デジタル博物館、オープン図書館などを整備します。ナイトエコノミーの発展にも力を入れます」
観光客を魅了するフエ・フェスティバル。 |
フエでは、企業や個人が高付加価値の文化製品を生み出すことを奨励し、雇用創出と経済成長を図りながら、同時に文化的アイデンティティを守る方針です。デジタル技術も積極的に活用し、伝統的な遺産を現代に生かす試みを進めています。
一方で、国際化が進む中、民族文化のアイデンティティをどう守るかも重要な課題です。決議では、優れた伝統的価値、文化遺産、ベトナム語、風習を保護し普及させることと、世界の文化的精髄を積極的に吸収して自国の文化を豊かにすることの両立を目指すとしています。
ベトナムは今、文化政策の大きな転換点に立っています。文化を真の意味で内発的な資源、国力の源泉として位置づけ直す取り組みです。
これが成功すれば、ベトナムのソフトパワーは国内の結束を強めるだけでなく、世界の文化地図において独自の存在感を示すことになるでしょう。経済成長と文化の発展を両立させる、新しい国家発展モデルの実現に向けて、ベトナムの挑戦が始まっています。