今月21日から24日にかけて、スイスのダボスで、WEF=世界経済フォーラムの第45回年次総会が開催されます。今年のダボス会議は「新たな世界状況」を全体テーマに、過激派「イスラム国」の台頭やウクライナ情勢、気候変動やインターネットの未来など幅広いテーマについて議論を深めます。
今回のダボス会議には、140の国と地域の政府、ビジネス界、学術界の関係者、合わせて2500人あまりが出席する予定です。
グローバルな試練に直面
今年の会議は、ロシアと欧州諸国との関係が冷戦後最悪となり、西アフリカにおけるエボラ出血熱の流行、原油価格下落など激変の渦中で開催されるものです。そこで、会議の枠内で、平和の構築に向けた努力を推進するため、公式と非公式会合や対話が行なわれる予定です。また、年次総会に先立って、WEFは世界各国が直面している10大試練を挙げました。それらは、資源の枯渇、ワーキングスキルと人材力、男女平等、長期投資、インフラ整備、食糧と農業の安全保障、国際貿易と投資、金融システムの未来などに関連する課題です。
WEFのクラウス・ シュワブ会長は「ダボス会議は官民協力の土台として国際共同体に奉仕するものだ。この協力は世界各国が直面している試練の解決を狙っていることから、共通の認識に至るのは必要だ。今回の会議が相互信頼の回復につながるよう願う」と述べました。
一方、世界経済フォーラムのチーフエコノミストであるジェニファー・ブランク氏は「会議の優先課題の一つはグローバルな安全保障である。それを通して、政治と経済システムの信頼回復が図られるであろう」と述べました。
一方、 国際通貨基金のクリスティーヌ・ラガルド専務理事は「世界経済は、アメリカ経済の前向きな兆しと原油価格下落にもかかわらず、複数の大きな試練に直面している。世界経済の着実な克服を確保する為には、欧州諸国と全世界の政策作成者の適切な行動を求める。」との見解を示しました。
世界経済成長にわずかなチャンス
世界経済フォーラムの年次会議であるものの、今回の第45回会議では、経済問題が重要視されないようです。失業状況や、金融危機など、経済不況への懸念は、衝突、社会、環境問題への懸念と比べるものとはなっていません。WEFのクラウス・ シュワブ会長は「今回の会議は、各国間の共通認識に到達し、信頼醸成に繋がり、経済面でのグローバルな試練の解決で進展を見せる」との希望を表明しました。
グローバルな試練はダボス会議の最重要な課題となるのは事実です。世界は全面的な危機に陥っている現在、これらの試練からの脱出を模索するのは世界経済フォーラムの第45回年次総会の任務であるだけでなく、全ての国の努力が必要としています。