危機的状況が続くウクライナ

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ウクライナでの政治的危機が高まっており、関係各国は停戦合意に違反していることを互いに非難しあっています。その他、ロシアとEU=欧州連合は互いに報復措置を繰り返して実施しています。ロシアとEUとの矛盾はウクライナ情勢の解決にマイナス影響を与えています。

先頃、ベラルーシの首都ミンスクでは、ウクライナの東部情勢を解決するための会合が何の具体的な成果を収めないまま終了しました。会合では建設的な雰囲気の中で行われたと評されましたが、停戦、ウクライナ政府軍と武装勢力の双方による重火器撤去など重要な議事について合意が達成できませんでした。

関係各側が停戦合意に違反

ウクライナの東部情勢を解決するための会合が終了してから数時間後、ドネツク近郊の政府軍がいる町、マリインカで、政府軍と親ロシア派の間で激しい砲撃戦となりました。ウクライナ政府は、この戦闘で政府軍の兵士2人が死亡し、30人がけがをしたと発表したうえで、親ロシア派の1000人近い部隊が戦車と共にマリインカに進攻を試みたとして非難しています。
これに対し、ドネツクの親ロシア派の幹部はロシアのメディアに対し、「進攻ではなくあくまでも防衛戦だ」と主張したうえで、ドネツクやその近郊の町が政府軍による砲撃を受け、市民5人と戦闘員14人が死亡したと非難しています。
ウクライナでは、今年2月に政府軍と親ロシア派が停戦に合意したあとも散発的な戦闘が続いており、ウクライナ政府によりますと、合意の発効からこれまでに兵士80人以上が死亡しており、停戦合意が守られていない状況が改めて浮き彫りになっています。

ロシアとEUとの矛盾は政治面にとどまらず

EUのシュルツ欧州議会議長は2日、EUのロシア政府代表部の大使らを欧州議会に入れないようにするなどの措置を発表しました。ウクライナ危機で対立するロシアとEUは、政治家らの入国禁止などの制裁合戦を繰り広げています。

ウクライナ危機が起きた後、EUはロシアの政治家や親ロシア派のウクライナ人ら計約150人に域内への渡航禁止などの制裁を科してきました。ロイター通信などによりまと、ロシアは5月下旬、報復としてEUの17カ国に対し、政治家や軍、情報機関の関係者ら計89人の入国禁止を通告しました。イギリスのクレッグ前副首相やベルギーのフェルホフスタット元首相らが含まれているといい、EU側は強く抗議しました。これに対し、ロシアのラブロフ外相は「EUに比べれば少ない。ばかげている」と反発していました。これより前に、EU加盟28カ国はルクセンブルクで開いた外相理事会で、ロシア要人らに科している資産凍結など制裁措置の対象を拡大することを決定しました。EUはすでにロシアや同国併合後のクリミア要人計33人に対し、資産凍結とEU加盟国への渡航禁止を発動しています。

関係各側が全面的対策を探るのは難航

一方、4日EUは、ロシアに対する広範な経済制裁と対象を絞った制裁について、来年1月末までの延長を数週間以内に決定する方向で検討しています。制裁延長を決定すればロシア政府とEUの間で緊張が高まる公算が大きくなります。このように、ウクライナ情勢を解決するための全面的な解決策を見出すのは難航していると言えるでしょう。

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