朝鮮半島の核問題 見えない解決策


朝鮮民主主義人民共和国は9日、国際社会の反発と国連の制裁を無視して、5回目の核実験を実施しました。今回の核実験は過去最大規模で、核弾頭を搭載した弾道ミサイルの実戦配備に近づいた可能性が大きく、日本や韓国などにとって脅威は一段と増大しました。これは朝鮮半島の核問題の解決策がなかなか見られないことを示しています。

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テレビで朝鮮の核実験を見ている韓国人の一人(写真:AP)

緊張エスカレート

朝鮮の核実験を受け、アメリカ、ロシア、中国など核保有5大国は15日、共同声明を出し、朝鮮による核実験、一連の弾道ミサイル発射を「強く非難する」と表明しました。

アメリカのマイク・マレン元統合参謀本部議長は16日、アメリカ外交協会主催の討論会で「北朝鮮がもしアメリカを攻撃できる能力に非常に近づき、アメリカを脅迫するのであれば、自衛的な側面から北朝鮮に対して先制攻撃を行うことができる」と発言しました。

また、アメリカのブッシュ前政権で朝鮮核問題をめぐる6カ国協議首席代表を務めたヒル元国務次官補は19日、ニューヨークで行われた座談会で、朝鮮の核・ミサイル技術について「目に見えて進展しており、危機は質的に変化している」と述べ、強い警戒感を示しました。

これに対し、朝鮮の李容浩外相は15日、アメリカの「挑発」に対応し新たな攻撃を行なう用意があると言明しました。朝鮮の5回目の核実験を受け、アメリカ軍が13日に戦略爆撃機B1Bを韓国に展開したことを受けた発言しました。

解決策への国際取り組み

朝鮮による5回目の核実験を受け、関係各国は一連の動きを見せています。アメリカを訪問中の日本の岸田文雄外務大臣は19日、約1年ぶりとなる「日米韓3か国外相会合」を行った後、臨時の記者会見を開き「日米韓の3者間で、地域の平和と安全に対する新たな段階の脅威となっている北朝鮮の相次ぐ挑発行動に対処するために、更なる制裁措置を含む新たな安保理決議の速やかな採択について、また各国それぞれ独自の措置について、一層緊密に連携していくことで一致した」と語りました。

また、国連総会が開かれているニューヨークで、アメリカのオバマ大統領と中国の李克強首相が会談し、朝鮮に対し、国連安全保障理事会での新たな制裁決議を含め、両国が連携していくことを確認しました。しかし、具体的な中身については、なお温度差があったようです。

会談で、アメリカ側は鉱物資源の全面禁輸などを含めた強い制裁を求めました。これに対し、中国の李首相は「安保理の新たな対応に賛成する」と新たな制裁に賛同を示す一方、「関係国は情勢を緊迫させる行動を慎んでほしい」と慎重な姿勢も崩しませんでした。また、アメリカが韓国に配備しようとしている高高度迎撃ミサイルシステム「THAAD(サード)」について改めて反対を伝えました。

政治アナリストによりますと、中国は厳しい制裁に慎重な立場を崩しておらず、実効性ある制裁を科すことができるかどうかは不透明です。そのため、朝鮮半島の核問題の最終解決への道のりはなかなか終点にならないでしょう。

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