(VOVWORLD) - 全世界の15億7千万人のイスラム教徒の15%を占めている東南アジアは、ISの新たな目的地になる恐れがあります。
ミンダナオ島の検問所(写真:VNA) |
23日夜、フィリピンのミンダナオ島南ラナオ州マラウィ市では、過激派組織「(IS)イスラム国」に忠誠を示すマウテグループと政府側の交戦が勃発しました。マラウィ市は、24日から同グループの支配下に置かれており、ISに忠誠を示す武装勢力の支配下にある東南アジアの最初都市となっています。こうした事件により、全世界の15億7千万人のイスラム教徒の15%を占めている東南アジアは、ISの新たな目的地になる恐れがあります。
マラウィにISの旗
フィリピンのロレンザーナ国防相によりますと、マラウィ市には過激派組織アブサヤフのハピロン幹部の隠れ家があり、フィリピンの軍隊と警察が23日に逮捕に向かっていました。これに抵抗する100人のマウテのメンバーが政府側に発砲し、衝突しました。この交戦で警官1人と兵士2人が死亡、8人がけがをしたということです。
マウテグループは同市の刑務所や教会に火をつけており、現地メディアには、刑務所などが燃え、町にISの黒い旗が掲げられる様子を写した写真が掲載されています。
マウテグループは反政府勢力「(MILF)モロ・イスラム解放戦線」の元メンバーが参加するとされ、昨年9月のダバオ市の夜市の爆発事件や、同11月にマラウィ市でドゥテルテ大統領警備の先遣隊の車両が爆発した事件への関与が指摘されています。また、同グループは他の過激派組織と連携して、ミンダナオ島にイスラム小国を誕生させると発表しています。
これを受け、フィリピンのドゥテルテ大統領は、ミンダナオ島に戒厳令を布告し、軍や警察による反政府勢力の掃討作戦の強化に着手しました。また、脅威が拡大した場合、戒厳令を全国に広げる用意があると強調しました。
ISの脅威 拡大
ISが中東地域で多くの被害と圧力を受けている背景の中で、フィリピン全土、そして、東南アジアにISの脅威が拡大する可能性は否定できないと見られています。東南アジアのフィリピン、インドネシア、マレーシアにはイスラム教徒が多数いるところです。
実際、これらの国では、インターネットを通じてISに忠誠を示す人は数千人にのぼっているとみられています。最近東南アジアで発生しているテロ事件の多くはISに関わったと指摘されています。そして、中東でISのメンバーとして戦っているインドネシア人は700人、マレーシア人は100人と推定されています。
これまで、アメリカの主導によるISとの戦いは主に、中東地域、ヨーロッパ、アメリカで行われていますが、これから東南アジアに広がるのは時間の問題だと思います。特に、フィリピンで起きた今回の事件は、ISの脅威を明確化にしています。これに対し、関係各国の連携強化はテロとの戦いに非常に必要だと見られています。