27日、オーストリアの首都ウィーンで、西バルカン諸国首脳会議が開幕しました。計画によりますと、西バルカン諸国の首脳らとEU=欧州連合の代表らは、協力強化措置や、西バルカン諸国のEU加盟などについて話し合う予定ですが、最近、難民問題が悪化していることから、この問題は主要議題となっています。
アフリカからの難民を乗せた船(写真:anninhthudo)
この数日、欧州諸国に流入している中東、アフリカ、西バルカンからの難民の数が引き続き増加しています。これは、経済不況や、失業などの問題を抱えている欧州諸国に多くの困難を引き起こしています。
最悪の危機
欧州諸国にとって、今回の難民危機は、第2次世界大戦後の最悪のものと見られています。EUの統計によりますと、年初からこれまで、その難民の数はおよそ、10万2000人となっています。特に、ハンガリーは危険な状態にあります。EU加盟国のハンガリーは、難民の流入を防ぐためにセルビアとの国境に一時的に壁を設置するなど、国境警備の強化を表明しています。
同国の司法相は26日、「1日に1500人が不法入国している事態は容認できない」と語りました。一方、ブルガリアも同じ問題を抱えています。ブルガリアの国防当局は25日、過去に例のない大量の難民流入が続いている南西部のマケドニアとの国境地帯に軍を派遣する方針を示しました。
その原因とは?
実際、今年に入ってから、北アフリカや中東から漁船などに乗って欧州に渡ろうとする難民が急増しています。長引くシリアの内戦や、「アラブの春」運動、IS=イスラム国の台頭による生活基盤の破壊、中東とアフリカ諸国の飢餓貧困状態、人権侵害、安全保障などはその原因と見られています。
EUの中でも特に難民問題が深刻なのが、まず欧州の南にあり船や陸路で難民が到着しやすいイタリアやギリシャです。そしてEU随一の経済大国であり、これまで比較的難民を多く受け入れてきたドイツも同じです。
その影響
難民危機は多くの問題を引き起こしています。先ず、経済問題です。ご存知のように、現在もEU諸国の経済はまだ完全に回復していません。中でも、ギリシャの財務危機はその証です。次は安全保障問題です。
難民が押し寄せる中、最大の受け入れ国ドイツでは極右勢力による収容施設放火や暴力事件が頻発しています。また、受け入れ反対のデモも各地で開かれ、参加者は難民対策に多額の税金が投じられることへの不満やテロリスト潜入の恐れを訴えています。
こうした中、オーストリアの首都ウィーンで、西バルカン諸国首脳会議が行われ、問題解決を目指していますが、アナリストらは「この会議も解決策を出すことができない」との悲観的な見方を示しています。