今週初め、ハノイで行われた3月の政府月例会議で第4次産業革命(いわゆるインダストリー4.0)に関する報告書を検討しました。報告の中で、ベトナムの関係各機関はこの中から得たチャンスを活用するため、様々な政策や措置を提出しました。
ベトナムのある自動化実験所(写真;TTXVN)
技術と産業の発展史において、3つの産業革命が行なわれました。第1次産業革命は、18世紀のイギリスから世界に広がった繊維工場などへの「蒸気機関」の導入、第2次産業革命は20世紀に入ってからのアメリカを中心とする「モーターやベルト・コンベヤーなど電気技術」、第3次は20世紀後半の日本を中心とする「エレクトロニクス(ミクロ世界を解明する量子物理学に基づき、電子を自在に操作する技術)」の時代でした。
そして第4次産業革命は、これから始まる(願わくばドイツを中心とする)「インターネットやAI=人工知能」の製造業への導入ということです。AI=人工知能などの先端技術は飛躍的に発展し、あらゆる経済社会分野に変更を与え、新しい事業やサービスを創出するとともに、ベトナムを含め、世界各国の生産、管理、運営に大きな影響を及ぼしつつあります。
主体的にチャンスを掴み、試練を乗り越える
こうした事情を踏まえ、ベトナムは経済再構築を成長モデルの刷新と連携させ、進めると同時に労働の効率や競争力の向上に力を入れています。また、短期目標と長期目標、経済成長と環境保護との調和、社会公平、社会福祉、社会安全保障の確保、貧富の格差の是正、国民の物心両面での生活水準の向上にも尽力しています。特に、人材の質的向上、科学技術の発展が優先課題に位置づけられています。
一方で、低所得者や農村部の青年、農民、貧困者、身体障がい者、少数民族出身者などを対象に、雇用創出、職業訓練、貸出提供などに関する様々な政策が実施されています。こうした中、農村部、山間部、僻地、少数民族居住地への先進技術の導入にも投資が強化されてきました。さらに、グリーン成長が重視され、環境汚染を引き起こす工業生産の監視、検査が厳格化されました。
科学技術の刷新、スタートアップ、人材育成を促進
経済社会発展政策の傍ら、ベトナムは世界の先進技術を購入するため、中期的かつ長期的に発展させるべき産業を定めました。国家レベルの科学技術発展計画を刷新し、物理学やデジタルなどの発展方向に見合わせることが狙いです。
また、科学技術研究から研究結果の商品化へと投資をシフトし、企業を創造、刷新の中核とみなしています。さらに、優先的な分野への先進技術の適用が進められ、国内の技術開発能力の向上に投資を集中的に行なっています。他方、高成長を遂げる可能性がある企業を中心にスタートアップ運動の支援が強化されてきました。そして、技術者、管理者、企業運営者などの業務能力の向上が重視されています。
行政手続きの簡素化や国家機関の活動の明確化に向けて、ハイテクによる国家管理方法の刷新が進められていることは第4次産業革命に備えるためであるとしています。現在、ベトナムは建設的な政府づくり、電子政府の構築に取り組んでおり、次世代技術の発展に有利な条件を作り出しています。