難航するISとの戦い

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シリアで実施された空爆(写真:ロイター)


アメリカ軍主導の有志連合がイラク領内で対IS空爆を開始して8日で1年となりました。この1年間で行われた空爆は6000回を超えましたが、ISの弱体化に至らず、掃討作戦は長期戦を強いられています。

ISの勢力拡大が止まらない

アメリカ軍主導の有志連合は昨年9月、シリア領内でも対IS空爆に踏み切りました。アメリカ中央軍は先頃、IS掃討については「有志連合が主導権を握っており、 ISは形勢不利」と説明しました。

しかし、AP通信によりますと、アメリカ情報機関はIS戦闘員の規模を2万~3万人と推計し、空爆開始前から実質的に減っていません。ISは戦闘員を次々補充し、情報機関関係者は「戦略的な手詰まりの状態にある」と指摘しています。

戦闘員の多くは、ISが解釈するイスラム教に基づく「国家樹立」に共鳴した中東や欧州の若者です。中東では民主化運動「アラブの春」で独裁政権が崩壊した後、政治の混迷で経済が停滞し、若年層の失業が深刻化しています。欧州ではイスラム圏出身の移民2世が差別され、過激思想に傾くケースが散見されます。

アメリカのIS掃討作戦は戦闘部隊を派遣せず、空爆と、ISと戦うシリア反体制派の訓練などにとどめる対症療法的なものです。空爆の効果は限定的で、反体制派の訓練も小規模でうまくいっていません。

ISとの戦いにおける新転換

一方、トルコ軍は先月末、シリア国内にあるISの拠点3カ所を空爆しました。 トルコによるIS空爆は初めてで、対決姿勢を強化しました。トルコ首相府によりますと、シリア国内のISの基地2カ所のほか、戦闘員の集合場所が攻撃の対象となりました。空爆はトルコ南東部の空軍基地から離陸した3機のF16により実施されたということです。トルコでは20日、自爆テロが発生し、30人以上が死亡しました。トルコ当局はISによる犯行としています。また、7月23日には、シリア北部のISの戦闘員少なくとも5人が国境地帯に近づき、トルコ軍の国境警備部隊に銃撃しました。1人が死亡、2人が負傷するなど緊張が高まっていました。

これを受け、トルコのダウトオール首相は同日、国家安全保障会議の中で対IS空爆に踏み切る決定を下しました。トルコ国境を脅かすテロ勢力には「最も強硬に応戦する」と表明しました。今回の空爆はシリア領空を侵犯しなかったものの、必要があれば領空内に入ることもあると発言しました。

アメリカとトルコがISとの戦いで協力することにより、アメリカ軍がトルコを拠点にイラクやシリアでISを攻撃できるようになる可能性があり、ISとの戦いに新しい転換点となることでしょう。

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