(VOVWORLD) - 今回のサミットは大国間の対立が目立つ背景の中で行われることから、行方は不透明です。
11月30日と12月1日の両日、アルゼンチンのブエノスアイレスで、主要20か国の首脳らが参加するG20サミットが開催されます。正式には「金融・世界経済に関する首脳会合」と呼ばれているG20サミットは世界最大の経済会合ですが、今回のサミットは大国間の対立が目立つ背景の中で行われることから、行方は不透明です。
大国間の対立 目立つ
G20サミットの前、アメリカとロシア、そして、アメリカと中国との相互批判が相次いでいます。
先ずは、ロシアが併合したウクライナ南部クリミア半島周辺海域で、ロシア当局がウクライナの軍艦船を拿捕した問題で、米ロ両国が駆け引きを活発化させています。27日トランプ大統領は、米紙ワシントン・ポスト(電子版)のインタビューで、ウクライナ艦船拿捕の問題に触れ「プーチン大統領と会談しないかもしれない。私はあのような侵略行為を好まない」と述べ、G20の際に予定される米ロ首脳会談をキャンセルする可能性を示唆しました。また、アメリカ国務省のナウアート報道官は27日、欧州各国へ対ロ制裁強化を呼び掛けていますが、フランスとドイツは、ロシアに対する制裁追加に反対し、ロシアとウクライナイの対立解決を目指す外交措置を優先する姿勢を示しています。
一方、ロシアのプーチン大統領は19日、トランプ大統領が破棄を表明した(INF)中距離核戦力廃棄条約について「アメリカと協議する用意がある」と述べた上で、アメリカが条約を破棄すれば「ロシアは対抗策を取る」と改めて警告しました。
そして、G20サミットはトランプ大統領と習近平国家主席が首脳会談を行い、米中貿易戦争の解決について話し合う場ですが、G20サミットを前にして、アメリカのライトハイザー通商代表は、中国がアメリカの自動車に40%の高い関税を課しているのは問題だとして、あらゆる対抗策を検討するとした声明を発表しました。また、トランプ大統領も、首脳会談が不調に終われば、中国からの2000億ドルの輸入品を対象にした関税の上乗せを、来年1月以降、今の10%から25%に引き上げるほか、さらに追加の制裁も課す構えを示していて、中国への圧力を強めています。
G20に期待できるのか?
大国同士がこのように対立している背景の中で行われる今回のG20サミットの成功を楽観視している人は少ないでしょう。しかし、米中両国は貿易戦争が両国に大きな被害を与えることを充分に認識していることから、互いに譲歩しあう可能性があることが期待されています。そして、アメリカとロシアの関係はこの間、悪化していますが、両国の間で軍事衝突が起きることはほぼ不可能であると見られています。
そのため、大国同士が世界の安定と平和のために互いに譲歩しあうことが世界全体の共同願望ではないでしょうか。