NATO首脳会議をめぐる問題


NATO=北大西洋条約機構は8日と9日の両日、ワルシャワで首脳会議を行います。首脳会議の開催は、2014年9月のイギリス・ニューポート以来、約2年ぶりです。会議では、既に大枠を決めているバルト3国とポーランドへの4大隊の展開など、ウクライナや東欧で軍事圧力を強めるロシアに対する抑止力の強化策で合意する見込みです。また、黒海周辺の防衛体制の強化でも合意する見通しです。


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第26回NATO首脳会議(写真:Hanoimoi)

G7=主要7カ国の中の6カ国を含む28カ国が加盟し世界最大規模の軍事機構であるNATOですが、欧州全体がイギリスのEU=欧州連合離脱問題に揺れるさなかに開かれる今回の首脳会議は、いわゆる「ロシアの脅威」に対し、改めてイギリスを含めたNATOの結束を確認する舞台となります。


新しい計画

NATOのストルテンベルグ事務総長は4日の記者会見で「東方で軍のプレゼンスを一段と強化することで合意する」と明言しました。このほか、ルーマニアにも同様の部隊を配置することを決める見通しです。また、ロシア問題に関して、ストルテンベルグ事務総長は、「ロシアとの政治対話の枠組みである“NATO・ロシア理事会”の大使級会合を今回のNATO首脳会議後の早い時期に開く方針」を表明しました。

首脳会議ではロシアへの抑止力強化策を正式承認しますが、対話姿勢も合わせて打ち出し、ロシアとのさらなる緊張を避けたい考えです。NATO側は当初、ロシア側に首脳会議前に理事会を開くよう呼び掛けていましたが、会議後に先送りとなりました。ストルテンベルグ氏は記者会見で、「私たちは常にロシアと対話を行う用意がある」と訴えました。

そして、2日後の6日に、NATOは、「NATO・ロシア理事会」を13日に開催すると発表し、ウクライナ東部の停戦合意問題などを協議するということです。これに対し、ロシアのプーチン大統領は、「ロシアは信頼醸成措置について話し合う用意がある」と述べました。


関連問題

以上お話しましたように、今回の首脳会議は、欧州全体がイギリスのEU離脱問題に揺れるさなかに開かれます。これに関し、ストルテンベルグ事務総長は4日のブリュッセルでの記者会見で、「イギリスがEUから離脱しても、イギリスとEUの関係は変わるが、NATOにおけるイギリスの位置づけは変わらない」と語りました。

ストルテンベルグ氏はイギリスが欧州のNATO加盟国全体の国防費の約4分の1を担っていることなどを指摘し、「イギリスは欧州の安全保障の主要な担い手だ」と述べ、これまで通りの貢献をイギリスに求めました。

また、テロ問題も今回の首脳会議の主要議題となります。アメリカ国防総省のピーター・クック報道官は5日の記者会見で、イスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」に対する掃討作戦を強化するため、8日からのNATO首脳会議で協議することを明らかにしました。

アナリストらは、「今回のNATO首脳会議は、新しい安全保障計画を出す見通しであるが、NATO側にはロシアとの政治対話も継続することで軍事的な緊張の高まりを回避する狙いがあることから、今後、この計画がどのように実施されるかが焦点となる」との見方を示しています。


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