ベトナムで奇跡の医療手術 国内初の心肺同時移植に成功

(VOVWORLD) - 先ごろ、ハノイのベトナム・ドイツ友好病院が、国内初となる心肺同時移植手術を成功させました。これは世界的に見ても非常に困難な手術で、ベトナムの医療技術が世界水準に到達したことを証明する画期的な出来事です。

死の淵から救われた38歳女性

移植を受けたのは38歳の女性患者さんです。この方は心臓に穴が空いている「心房中隔欠損症」という病気で、2011年に一度手術を受けていました。しかし、その後の定期検診を受けなかったことが災いして、病気が悪化してしまいました。

ベトナムで奇跡の医療手術 国内初の心肺同時移植に成功 - ảnh 1患者が順調な回復を見せる  写真提供:
VGP

今年に入ってからは何度も入院を繰り返し、最終的には「アイゼンメンジャー症候群」という非常に深刻な状態になってしまいました。心臓の機能が回復不可能なほど低下し、医師たちは「余命は日単位」という厳しい診断を下しました。もう心臓と肺の両方を取り替える以外に、この女性を救う方法はありませんでした。

病院のズオン・ドゥック・フン院長は、次のように振り返っています。

(テープ)

「私たちの医療チームは長年にわたって経験を積み、十分な訓練を受けてきました。技術的には心肺同時移植を実施する準備は整っていたのですが、幸運なことに条件の合うドナーが現れ、手術を実行することができました」

7時間の死闘 チーム一丸となって挑む

この手術がいかに大変だったか、なんと7時間もかかりました。胸部心血管外科の医師を中心に、麻酔科、集中治療科、リハビリ科、栄養科など、本当に多くの専門家がチーム一丸となって取り組みました。

最も困難だったのは、患者さんの古い心臓と肺を取り出してから、新しい臓器を移植するまでの間、どうやって生命を維持するかということでした。そこで医師たちは「体外循環装置」という特殊な機械を使って、7時間という長時間にわたって患者さんの血液の流れと呼吸を人工的に支え続けたんです。
そして手術から約4週間が経った今、患者さんの回復ぶりには医師たちも驚きました。

ご家族の方は、本当に感動的な言葉で喜びを語ってくれました。

(テープ)

「手術前の娘は、もう自分で歩くことすらできませんでした。それが今では普通に歩けるようになって、体を鍛えるために太極拳まで始めているんです。お医者さんたちには言葉では表せないほど感謝していますし、娘に新しい命をくださった臓器提供者のご家族にも、心から感謝の気持ちでいっぱいです」

世界でも年間100例だけの超難手術

では、なぜこの手術がそれほど注目されているのでしょうか。実は心肺同時移植は、現代医学の中でも最も困難な手術の一つです。

まず、心臓と肺の両方が同時に移植可能な状態でドナーから提供されることは、本当に稀なケースです。それに手術自体がとても複雑で、術後に合併症が起こるリスクも高いのです。

そのため、世界全体を見ても、この手術は年間でたった100例程度しか行われていません。

多くの患者さんに希望の光

今回の成功は、単に一人の患者さんの命を救ったということを超えて、もっと大きな意味を持っています。これまでベトナムでは治療できなかった重い心肺の病気を患う方々にとって、新しい治療の選択肢、希望の光が見えてきたということです。

また、この成功は、ベトナムの臓器移植医療がいかに発達してきたかを示す何よりの証拠でもあります。世界レベルの技術を身につけた医師チームがいることで、ベトナムの医療が国際的にも認められることになるでしょう。

一人の女性患者さんの奇跡的な回復は、ベトナム医学の新しい時代の始まりを告げる出来事として、医療関係者だけでなく、多くの人々に希望と勇気を与えています。

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